2018/06/01

t天王星について ~牡牛座天王星時代


先日、夫が「バイオミメティクス」という本を図書館から借りてきていました。
表紙に「トコトンやさしい」と書いてあったので、私も手に取ってみたのですが、とても分かりやすく楽しい内容で、熱中して一気に読んでしまいました。

「バイオミメティクス(Biomimetics)」とは、直訳すると「生物模倣」です。
46億年という気の遠くなるような地球時間の中で、環境に適応し、命をつないでいくための機能・特徴を獲得した生物の本質を「模倣」することで、人間社会で利用可能なテクノロジーを生み出そうという「技術移転」なのだそうです。


ハスの葉の超撥水性
例えば、ハスの葉の超撥水性を塗料や織物に応用したり、油が付着しないカタツムリの殻を応用して建築材料を開発したり、カワセミのくちばしの形状を500系新幹線のフォルムに応用して騒音を減らしたりと、私達の身近なところでたくさん使用されているのです。

それは同時に、長い年月の間、厳しい自然によって淘汰された弱い生物でなく、生き残ってきた強い生物を模倣するわけですから、非常に普遍的で、かつ合理的な技術であるとも言えます。

こういった「生物から学ぶ」概念は、"万能人"レオナルド・ダ・ヴィンチが、鳥の飛翔メカニズムから様々な「飛行機械」を設計していた中世にまでさかのぼるそうです。

デュポン社 ナイロンの広告
しかし実際に、その概念に基づいた技術を初めて具現化させたのはアメリカの化学会社、デュポン社です。

「蜘蛛の糸より細く、絹よりも美しく、鋼鉄より強い」というキャッチ・フレーズで発売された「ナイロン」。

「ナイロン」は蚕が作る絹糸の基本構造を「模倣」したもので、石炭・空気・水を原料としたものを線維化したものだそうです。

1935年――今から83年前、t天王星が逆行期間を経て牡牛座に正式にイングレス(星座移動)した年でした。




天王星のキー・ワードを挙げてみたいと思います。

高度で論理的な知性 / 客観的 / ひらめき / 反抗心 / 反逆的 / エキセントリック / 独立性 / 変革 / 革新 / 普遍性 / 独創性 / 合理性 / 構造性 / 個人主義 / 組織性 / 共時性 / 発明 / 発見 / 解放 / 独立 / 自由 / 離別 / 突発的 / 未来的 / テクノロジー / 電気・電波・電磁波 / インターネット / デジタル / システム / 科学 / 考古学 / 天文学 / 心理学 / 占星術 など

天王星が天体として加わる以前の占星術では、土星が最も公転周期の遅い天体でした。
しかし天王星が発見されたことにより、土星の「限定された枠」そのものから離れ、距離を置き、客観視するという象意が占星術の一観点として加わったのです。

天王星(公転周期:84年)
そういった意味で、天王星は「太陽系の中の地球」という狭く限定された"ローカル"な土星の枠を超え、宇宙的な視点を地球上に持ち込む天体であると言えます。

ですから、地球という規模でなくとも、国や地域、果ては家族や個人といった「限られた枠」を超えようとする天王星の象意は、一見、現実離れしたエキセントリックなものに見られがちです。

しかし天王星は限定された枠の中でしか通用しないもの、また形骸化したものを否定する天体ですから、天王星(宇宙的視点)から見るとむしろ土星の"ローカル枠"の中の方がエキセントリックであると言えます。

同時にそれは、天王星が特定の場所・立場にとらわれず、どこでも通用するような真理とも言えるもの――「普遍性」を追究する天体であることを示しています。




対して、牡牛座は固定宮・地のサイン。支配星は金星で、"所有"のサインでもあります。

牡羊座の"パイオニア精神"を身体に宿し、その感覚を確かめるように粘り強く自分自身のものにしていくため、スピードは遅くとも、五感や美意識が発達してくるサインでもあります。
しかしそれは実際に目で見て、耳で聞いたことなどによって得た「自分自身の実感」に固執してしまうことも表しており、周囲からの情報や刺激をシャット・アウトしてしまう頑なな面も強く出てきがちです。

また、牡牛座の"所有"は物質的なものだけでなく、「生まれつき所有している資質」に関連するサインでもあります。牡牛座には脈々と受け継がれてきた「遺伝」の要素も強いのです。




今回、天王星が84年振りに牡牛座にイングレスしたのが2018年5月16日。
しかし同年8月8日から牡羊座へ逆行するため、正式にイングレスするのは2019年3月6日からになります。
牡牛座が示す、所有・美意識・実感・価値観・資質・身体的感覚、果ては金銭・物質・衣食住に至るまで、天王星の影響が及ぶ7年間となります。

その影響を考える際、過去の出来事を検証することは私達に有用なヒントを与えてくれますが、公転周期の遅い天体――海王星・冥王星の影響はさらに強く、その社会的影響力を検証するに当たって、牡牛座天王星の象意だけを取り上げるのは不充分だとも言えます。




1934/06/07 01:25 東京
左図は1934年6月、今から84年前にt天王星が牡牛座へ最初にイングレスした瞬間の図です。

前述したように、1935年3月に正式に牡牛座入りした後、最終的には1942年5月に双子座へイングレスしていきます。

牡牛座天王星が金星とコンジャンクション、蟹座冥王星とスクエアを形成。

天王星-冥王星のスクエアは1930年~1936年に牡羊座(牡牛座)-蟹座間で形成されていました。
"戦争"を表すとも言われるこの組み合わせは、現状の崩壊と新たな改革による再生――激動の「時代の変わり目」を示すアスペクトです。

ご存知のように、1939年に第二次世界大戦が勃発するまでの様々な経緯や出来事によって、関連国の国民の生活も大きく変わりました。

例えば1935年、ロシア(旧ソ連)ではスターリンによる「大粛清」が行われました。
ドイツではヒトラーがヴェルサイユ条約を破棄。ユダヤ人の公民権を停止し、ドイツ人との結婚を禁止するニュルンベルク法が制定されました。フランスではそれに対抗して人民戦線が敷かれたのです。
日本では1939年の「生活刷新案」。米食禁止、敵性語禁止、「ぜいたくは敵だ」というフレーズ、徴兵制などは、それまで普段の生活の中で当たり前にあったもの、変わらないと信じていたものが変容していくさまを伺い知ることができます。

しかしその根底には蟹座冥王星――私心を捨て、小さな集団を解体し、大きな集団の意志に組み込まれることを是とし、異を唱えるものを排除しようとする風潮――いわゆる「全体主義」といった風潮が圧倒的な影響を及ぼしていたことを考慮せねばなりません。



ニューディール政策での
労働者
しかしそういった大きな趨勢の元で、欧米では税金を使った公共工事が盛んに行われました。

これは1928年、天王星が魚座から牡羊座にイングレスした際に起きた、世界的な金融恐慌によって大量の失業者が出てしまい、政府への不満が高まっていたことに端を発しています。

アメリカではニューディール政策(1935年)――政府が市場経済に積極的に介入する政策をとりました。
ドイツでは高速道路(アウトバーン)が次々につくられ、ロシアでは巨大な地下鉄も開通しました。

特にニューディール政策については、後年様々な批判の種にもなりましたが、当時、牡牛座という固定宮特有の、旧態依然としたものに天王星が風穴を開けたことは事実なのです。天王星は「利益を再分配する」天体でもあるのです。



1940年 東京五輪
ポスター
日本では、NHKが国際放送を開始し、国際電話(日本-ブラジル間)も開通。国会議事堂も設立されました。
戦争へ向かっていった国際情勢の影響もあり、こういった通信技術や航空技術等も飛躍的に発展していきました。

また1940年に開催予定であった東京オリンピックの開催権を返上するという出来事もありました。

文化面では芥川賞・直木賞や文化勲章、プロ野球の前身である職業野球連盟が設立された時期でもあります。

神戸のモロゾフ製菓が「バレンタインデー」にチョコレートを贈る習慣を打ち出したり、洋服(洋装)を着る習慣が一般人に浸透していったりしたのもこの頃です。ちなみに、いわゆる「モダンボーイ・モダンガール(モボ・モガ)」が登場したのは牡羊座天王星時代でした。

富士通、コニカ、TDK、リコー、東芝、昭和電工、三菱地所、トヨタなどの大企業もこの時期に設立されています。




2018/05/16 0:19 東京
右図は先日のイングレス時の図です。

天王星は牡牛座水星とコンジャンクション、山羊座火星とスクエア。

山羊座(活動宮・地のサイン)の支配星は土星です。山羊座火星は"ローカル"な社会(国・地域・会社・グループなど)の価値観の中で強い競争力を発揮していくという象意があります。
「集団意識」の中で自己を抑制しつつも確実に頂上に駆けのぼるべく努力していく象意です。

それが牡牛座(不動宮・地のサイン)天王星によって「行動面での切り替え」として表出します。

牡牛座――不動宮は変化に弱いため、それには衝撃と痛みが伴うかもしれませんが、天王星はローカルなものから分離する天体ですから、その「切り替え」はより普遍的な方向性を持つためのものであるとも解釈できるわけです。

さらに、この図は「火のサイン」が0で、「地のサイン」が7つと過剰でですから、社会的には強い閉塞感が漂いつつも、国民の実生活等を安定させるための切り替え(改革)、といった形で作用していくといった解釈もできそうです。


また、直近では、2011年~2017年に牡羊座-山羊座間で天王星-冥王星のスクエアが形成されていました。
蟹座-山羊座は対向のサインであるため、「集団性」といった面での共通項があります。そういった意味で、現在の世界情勢は、84年前と似た部分も散見されるでしょう。

しかし蟹座(水のサイン)が心理面で集団に同化して吸収されていくことに対し、山羊座(地のサイン)は目に見える、実際的な形での同化ですから、集団内の「現実」に即して自分自身を同化させることによって、その集団自体を活性化させていくようなニュアンスがあるのです。

もちろん、この配置は様々な状況を想起させるわけですが、今後は、山羊座のローカル性が牡牛座天王星によってさらに活発化し、例えば独自の農産物や、独自の技術が集団の中で磨かれ、発展していく時代になると考えるのは楽観的すぎるでしょうか。




また、84年前と同じく、すでに牡牛座天王星に関連した大きな変化が表出してきているように思います。

例えば、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、海外で普及している「キャッシュレス決済」についての小・中学校での教育。

また、「普段の生活に必要な費用」――例えば「朝食を取る」のに、食材・食器・ガス・電気・洗剤など、どれくらいのお金がかかるのか、といったことも授業でシミュレーションする動きが急速に広がっているようです。

牡羊座天王星時代に広く流通した「仮想通貨」も同様ですが、金銭のやりとりが実際に見えにくくなり、トラブルも多い現在、「お金についての価値観を養う教育」という流れは今後も教育の一端として重要視されてくるように思います。

また、2020年、小学校での「プログラミング必修化」。これはプログラミングを学ぶことが目的というよりは、プログラミングに必要な「論理的思考」を養うことが目的だそうです。

スポーツでは、イメージ・トレーニングとテクノロジー(脳科学やAI、VRなど)を結びつけることで、大きな成果が表れ、海外ではすでにオリンピック選手やプロ選手だけでなく、お年寄りの認知症予防にも適用されているそうです。

これまで、根性・気力・努力などが重要視されてきたスポーツの練習ですが、怪我などによって練習できないとき、「正しいイメージ・トレーニング」を重ねることによって、実際に身体を動かしているのと同じような効果が得られるというのです。

つまり「身体感覚」と「イメージ」が結ぶ効果が最新のテクノロジーによって解明されたとのことで、牡牛座天王星だけでなく、魚座海王星の強い影響――人間の想像力が再評価されるような――も感じさせます。



冒頭の「バイオミメティクス」の本には、「バイオミメティクスは『古くて新しい技術』である」ということと、「既存の価値を破壊し、新しい価値を創造していくことが、経済成長をもたらす」と明言されています。

物理や化学の延長には限界があり、生物の身体の仕組みを研究し尽くすことでより革新的な製品開発や生産方法が生み出せるのだと。
実際、2035年にはこの分野が年間3000億ドルの国内総生産、160万人の雇用を生むとも試算されています。

以下、一部引用させて頂きます。


(中略)有限な地球資源や恵みを与えてくれてきた自然を守りながら、持続的に心豊かな暮らしができるように方向転換する必要があります。 
がむしゃらに人の欲を満たすために技術開発するのではなく、与えられた資源や自然の中で最大限心豊かになるよう、ライフスタイル変革を起こさなければならないのです。暮らし方を変えるのです。 
(中略)最終目標とする心豊かな暮らし方が自然環境を考慮して合理的にデザインされ、それを支えるためにバイオミメティクスにより技術が生みだされなければなりません。
これによって(中略)持続可能な社会環境へと転換していけるのです。 
――「トコトンやさしい バイオミメティクスの本」(日刊工業新聞社) 下村政嗣 編著 / 高分子学会 バイオミメティクス研究会 編


様々な天体が響き合って現在の趨勢が築かれているわけですが、牡牛座天王星時代を考えるに当たって、上記の概念は「社会を持続させていくための」ひとつの確かな方向性を示してくれているように思います。

そういった意味で、牡牛座に天王星が在する期間は、牡牛座というサインが表す本質的なもの、なくてはならない大切なものを私達に気付かせてくれる期間であるのかもしれませんね。

次回の記事では、t天王星の個人への影響について考えてみたいと思っています。

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