2017/03/09

金星-冥王星のアスペクトについて


金星-冥王星のアスペクトについて考えるとき、私はいつもメキシコの女性画家、フリーダ・カーロ(Frida Kahlo)を思い出します。
強い意志を感じさせる印象的な眉と、ネイティブメキシカンの民族衣装を纏ったその美しい姿をご覧になったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。


1907/07/06 08:30 メキシコ コヨアカン
出生時刻はアストロ・データバンクのデータを転載しています。

彼女の人生は6歳のとき(n天王星-火星にt木星がコンジャンクション、tノード軸がn土星にコンジャンクション)ポリオに突然罹ってしまったときから、常に痛みと共にありました。

10代前半は医学を志し、メキシコの最高教育機関と呼ばれる国立の学校に女性として初めて入学し、文学にも熱中しました。

しかし17歳のとき、通学に利用していたバスが路面電車と衝突し重症を負い、生死の境をさまよいます。n太陽-海王星にt冥王星がコンジャンクション、t天王星がn土星にコンジャンクション、さらにt海王星がAscに重なろうとしていた時期でした。

脊柱や骨盤を破壊されていた彼女は、32回もの手術を経て何とか命を取り留めましたが、たくさんのコルセット無しでは生活できない身体となってしまったのです。
しかし同時に、痛みと孤独を紛らわせるため病院のベッドの上で絵にのめりこんだことで、その才能を開花させていくことになりました。

22歳のとき、メキシコに民衆のための芸術を興す「メキシコ壁画運動」の中心人物、21歳年上の画家ディエゴ・リベラと両親の大反対を押し切って結婚。
t土星がn金星-冥王星にオポジション、t天王星がn太陽-海王星にスクエア、tノード軸がMC軸に重なっている時期でした。

ディエゴ・リベラとフリーダ・カーロ
夫のディエゴにとっては3度目の結婚。手当たり次第の浮気癖は結婚後もやむことはありませんでした。
バイセクシャルのフリーダは、ディエゴへの当てつけのように、彼の友人や愛人をも誘惑するのです。

そんな嵐のような結婚生活の中でそれほどお互いを傷付け、傷付けられても、ふたりは才能を認め合い、尊敬し合い、激しく憎み合いながらも愛し合っていたのです。



金星-冥王星のアスペクトを持つ人は、愛情や金銭のテーマにおいて深刻な出来事や感情を経験しがちです。
猛烈な衝動と感情。全身全霊を捧げ、情熱を燃やし、尽くし切るような愛情。相手と融け合い一体化したいと望むような、激しい愛情です。
このアスペクトを持つ人の辞書に「気軽なお付き合い」という言葉はありません。
愛する人との関係を徹底的にコントロールしようとする、有無を言わせないようなニュアンスも持ちますので、裏切ろうものなら恐ろしい人に変貌することもあります。
しかし普段はその激しさをほとんど表に出さないところも特徴です。

フリーダの出生図は金星-冥王星コンジャンクションに土星がスクエア。
金星期に結婚したフリーダにとって、夫から確かな愛を得られなかった苦しみと飢餓感は想像を絶するものだったでしょう。
そういう「当たり前のもの」が手に入りにくい配置でもありますし、自らそういう相手を選んでしまいがちなところもあるのです。



さて、コンジャンクションの場合、本人も気付かない、無意識に働くアスペクトですから、ある意味押しつけがましさが最も強いアスペクトとも言えます。
また、コンジャンクションは特に、独特で濃い雰囲気を持つので良くも悪くも目立ちやすいです。
その分、周りからの興味の対象となりやすい傾向もあります。有名人では俳優の渡辺謙、歌手のビヨンセなど挙げられます。勿論フリーダもですね。

セクスタイルやトライン(例:実業家のパリス・ヒルトン)の配置を取る場合、愛情や金銭面で受けた打撃の回復が早い、という点が挙げられますし、
スクエア(例:女優のオードリー・ヘプバーン)だと、冥王星の介入によって突然新しい道が開ける代わりに、愛情や金銭面において突然遮断されるような出来事が起こりがちです。
オポジション(例:歌手のセリーヌ・ディオン)は強いコントロール欲が愛情や金銭に結び付きます。特に愛情面では、徹底的に尽くす代わりに、相手が自分の思惑から少しでも外れた行動を取ると大変に苦しい思いをするのです。

加えて、金星-冥王星のアスペクト、特にハードアスペクトでのもうひとつの重要な観点として、「際限なく受け入れることができる」点が挙げられると私は思っています。
心の中にブラックホールのような深い穴があるイメージです。愛情や金銭面でどんな形であっても、どんな打撃を受けても、受け入れ、吸収し、それらを全て包み込んだ上でコントロールしようとする強い性質です。



フリーダは28歳のとき、ディエゴがとうとう自分の妹にまで手を出したのを機に、ふたりで暮らした家を出ていきます。t冥王星がnノード軸に重なっていた頃です。
30歳(t土星回帰)の頃、初めて大規模な個展が海外で大成功をおさめ精力的に活動しますが、夫婦仲は冷え切り、33歳のとき離婚します。
t木星を頂点としたn太陽-海王星・n天王星-火星のTスクエア、MCに天王星がコンクションしていました。

フリーダは孤独を忘れるために制作に没頭します。しかしまたも病魔に襲われるのです。
離婚した年の末、フリーダはディエゴを呼び、「経済的に自立すること」「性的関係を持たないこと」などを条件にディエゴともう一度結婚しました。
MCにはt天王星、MC近くのt木星-土星のコンジャンクションがn太陽-海王星にセクスタイル、n天王星-火星とトラインを組んでいました。
当時の彼女の日記にはこう書き残されています。

Diego in my urine - Diego in my mouth - in my heart, in my madness, in my sleep.
(ディエゴは私の排泄物の中にいる―私の口の中にも。心の中、狂気の中、眠りの中にも)

1949年 フリーダ・カーロ
右図は42歳のとき、病床のフリーダが描いた作品です。

〈愛は抱擁する、宇宙、大地(メキシコ)、ディエゴ、私、セニョール・ソロツルを〉という題名がついています。

〈セニョール・ソロツル〉とは、手前の大きな手の上で眠っている、ふたりが飼っていた犬のことだそうです。

私には芸術のことはよく分かりませんが、激しい金星が鳴りを潜め、全てを受け入れ、ただ大きな愛の中でたゆたうような静かな心境が伝わってきます。
背景にある太陽と月。単なる男と女という関係や、生と死さえ超越して、フリーダとディエゴは母と子のように宇宙の意思の元で固く結ばれている、そんな印象を持ちます。

私はこの絵を見るたびに、金星-冥王星の象意を味わい尽くし、苦しみ尽くした終着点が表されているように思えてならないのです。

フリーダはこの絵を描いた5年後、47歳でその短い生涯を閉じました。ディエゴは最後までフリーダに寄り添って過ごしたそうです。

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