2017/04/14

月-冥王星のアスペクトについて


「月-冥王星」と言えば「関わりたくない、怖いアスペクトNo.1」という不名誉な解釈をされることが多いようです。これは半分正解で、半分不正解だと私は思っています。

太陽系の最外郭にあるとされる冥王星は2006年に惑星から準惑星へ降格しましたが、西洋占星術においては依然強烈な影響力を持ちます。
「死と再生」といった、人智を超えた極限的な意味合いを持つ冥王星が月とハードアスペクトを取るとき、繰り返し、吸収するしかない月は常に「自我を消し去られるような」感覚に呑み込まれることになるのです。
それは言い換えれば「コントロールを失いやすい自我」とも言えます。



今回は月-冥王星のアスペクトの象意や傾向を具体的に挙げてみたいと思います。
ちなみにセクスタイルやトラインといったソフトアスペクトの場合は深い感情と集中力が与えられます。傷付いても無限に修復できる能動的なコントロール力を持ち、障壁を乗り越える耐久力をも持つのです。

以下は全てハードアスペクトにおいて見られる傾向となります。


①一般的な生活習慣を構築するのに苦労する

冥王星自体に普段の生活を歪ませる力があるわけではありません。ただ、遠い冥王星から持ち込まれる未知なるものの影響は、個人の力ではコントロールすることが難しいということです。
様々なものを受け取ってしまうためストレスが多く、健康面では睡眠の障害――過眠として出ることも。大きなストレスを緩和するため、長時間の睡眠によって脳をデフラグ(再構築)することが必要だからだと思われます。



②強い集中力と耐久力、深い感情的性質を併せ持つ

このアスペクトを持つ人は圧倒的な「感情の濃さ」を持ちます。それは人の気持ちを深く洞察し、同化し、入り込み、包み込むことができる強烈な母性とも言えます。どんなことでも際限なく受け入れることができる懐の深さです。

金星-冥王星の記事でも書きましたが、月や金星という「受け入れる天体」が冥王星とハードアスペクトを取る人は、心の中にブラックホールのような深い穴があって、どんな打撃もどんな状況も受け入れ、呑み込み、吸収する性質が出てきやすく、それが耐久力につながります。非常に我慢強い人が多いです。

そして、どんな状況であっても(家族以外の)周りの人に相談したり感情の赴くままぶちまけたりすることがほとんど無いというのも特徴です。決して秘密主義というわけではなく、ただ受け入れることができる範囲が深く広いだけなのです。

ですから、このアスペクトを持つ人が家族以外の他人に対して言葉や態度で怒りの感情を激しく露わにするときはブラックホールの許容量を超えたときで、本当に終了のときだとも言えます(笑)
月-冥王星アスペクトが怖い(確かにそういったときの月-冥王星の人は怖いです)、と言われてしまうのはそういったところから来ているのかもしれませんが、普段はそういった激しい感情はほとんど出さないため、決して単に「怖い人」ではないのです。



③いざというときにスイッチが入る

リマーナすず先生はこのアスペクトを「三年寝太郎アスペクト」とおっしゃっています。
普段は掴みどころがなく茫洋としていても、いざというとき――普通の人がパニックになるような状況でスイッチが入る、ということなのです。
火事場の何とやら、ではないけれど、それはその状況を丸ごと呑み込み、分析した上で冷静に行動できる集中力を持つということなのだと思います。

逆に言えば、極端な感情や状況がこのアスペクトを持つ人の「生きている実感」を目覚めさせるのです。ただ、緊急を要しない普段の場面に戻ると、また異常に眠り続けたり不安定な日常生活に逆戻りします。



④幼少時の家庭環境、特に母親との関係に特徴がある

月-冥王星仲間であり、占星家である森んこさん月-冥王星についてのブログで書いていらっしゃるように、このアスペクトは母親との関係に特徴を持つ方が圧倒的に多いように思います。(勿論、そうでない方もいらっしゃいます)

西洋占星術では月=母親とも解釈します。私が西洋占星術の世界に足を踏み入れたのも、実母との支配的な関係に悩んでいたからです。(最初の記事に私の出生図を載せてあります。月-冥王星について少しだけ触れています)
私のように母に振り回されていたり、逆に友達のように仲は良いけれど、その仲の良さが過干渉で依存的であったり。どちらにせよ「母親」との関わりが人生のテーマのひとつとなってきます。

内円:母親 外円:息子
ある親子のシナストリー図です。内円がお母さん、外円が息子さんです。

お母さんの出生図は、8室はじめにある牡羊座月-土星コンジャンクションがAscにアスペクトし、一見クールでとっつきにくい感じに見えますが、その後にある牡羊座金星は深く大きな愛情と、献身的に尽くし切る懐の深さを示しています。

8室サインは魚座~牡羊座ですが、ナチュラルハウスである蠍座(冥王星)の影響を受けるので、彼女の場合も「深く洞察し一体化する」「際限なく受け入れる」といった素地がある出生図となります。

さて、シナストリーではお母さんのICに息子さんの月-冥王星コンジャンクションが重なっています。t冥王星がICに重なったときの出産だったわけです。

この親子は非常に仲が良いですが、やや依存的であるとお互いが自覚しています。それぞれ友人がたくさんいてお付き合いにも忙しいのですが、家で二人だけで過ごし、いろいろな話を打ち明け合うことこそがこの親子にとって本当の休養をもたらすのでしょう。

お母さんは最近「息子が就職や結婚をして家を出ていったらどうしよう」という思いにさいなまれています。
それが子供を縛ることになる、子離れしなければならない、ということは充分分かっているのです。しかし離れて暮らすことはとても考えられない。どうしようもない衝動なのです。
息子さんにとって、お母さんとの関係は生涯に渡って大きなテーマのひとつとなってくるのでしょう。こういった例もあることをご参考にしていただければと思います。

月-冥王星を持つ人は概して両極端にふれやすい傾向が強く、それは母親との関係だけではなく、生まれ育った家庭環境に端を発していることも多いのではないかと推察されます。
自己価値を低く見積もりがちな人も多いため、自覚することこそが人生において肝要なポイントとなってくるでしょう。(自己価値については他の記事で書こうと思っています)



➄他人へ影響を与える力を持つ

ポール・マッカートニー
ジョージ・ハリスン
左図はザ・ビートルズのメンバー全員の出生図です。
全員が月-冥王星のハードアスペクトを持ちます。
ポールとリンゴはコンジャンクション、ジョージがスクエア、ジョンがオポジションです。



リンゴ・スター
ジョン・レノン
リンゴとジョンは非常につらい幼少期を送っていますし、ジョージは母親との結びつきが強いです。
この4人の後世への影響力は言うまでもないでしょうが、彼らの音楽は冥王星という未知の次元からもたらされたものなのかもしれません。



最後に、「月-冥王星対策」について、未熟な考えですが私の思うところを3点書きたいと思います。

A. 定期的に忙しい状況に身を置くこと

冥王星は個人の力ではどうすることもできないため、スイッチを入れる方にシフトした方がいいのではないかと思います。

私は以前、大変忙しい職場に長年勤めていたのですが、毎日のように何かしら事件が起こるため寝る暇もないほど忙しく、疲弊し切っていました。
当時は占星術を知らなかったのですが、同僚と「忙しすぎるけど、なんだか生きてるって感じがするよね~」とよく話したものです。
忙しくなればなるほど、意識の中に冴え渡るものがあると感じていました。その同僚も月-冥王星コンジャンクションを持っていることに気付いたのはずっと後のことです。

と言っても寝る暇もないほどとなると月-冥王星でなくても身体に障るので、定期的にそういう時期をつくって覚醒させるというやり方がこのアスペクトの理にかなっているのかもしれません。


B. 極端な感情に支配されないこと

例えば私の場合、実母との問題があって、離れて暮らしていても定期的に思い出しては塞ぎ込む日々を送っていました。その渦中にいると、「もうダメだ…」と深みにはまっていくようにどんどん精神的に落ち込んでいくのです。それは極端な思考を生み出します。

そんな冥王星の不安定さを常に意識して自覚するだけでも随分ラクになるのではと思っています。極端な感情に支配されない、と意識することが大切です。


C. 没頭できる何かに取り組むこと

月-冥王星は「集中力」といったギフトを宇宙から与えられていますので、これを使わない手はありません。
私の場合、好きなことでないとなかなか集中できないのですが、友人の月-冥王星を持つ人は「内職(手作業)」にひたすら没頭することで不思議と精神的に開放感が生まれた、ラクになった、と言っていました。



この記事にはまだまだ抜けている視点が多いと自分でも感じているのですが、また長くなってしまいそうなので(毎度すみません)これで終わりにしたいと思います。

月-冥王星については私もまだ客観的に見られない部分が多く、もっと勉強が必要だなあと感じています。
もしこの記事を読んで下さっている方がいらっしゃって、月-冥王星についてお気付きになったこと、ご存知のことがおありでしたらアドバイスやご教授いただければ嬉しいです。

10 件のコメント:

  1. 冥王星について素晴らしい分析だと思いました。特に、過眠症と関係があるということは気づきませんでした。僕は。だいぶ前にジェフ・グリーンの冥王星を翻訳したのですが、出版社が見つからずにまだお蔵入りしてます(笑い) 太陽90冥王星180月 ルシエル

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    1. るしえるさん、コメントありがとうございます。
      月は最も個人的な天体なので、過眠についても人それぞれだと思うのですが、やはりこのアスペクト(ハード)があると、日常生活において自らの処し方が難しいと感じていらっしゃる方が多いように思います。
      るしえるさんが、Jeffrey Green氏"Pluto"のカルマ的側面に注目され、難解な概念を翻訳までされたのも、太陽を頂点とした月-冥王星のTスクエアが持つ大きな力の成せる技なのですね。
      ご出版が叶いますよう、一読者として首を長くしてお待ちしております。
      過分なお言葉、重ね重ねありがとうございました。

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  2. にゃんぴー2017/11/01 15:30

    よくわかります!
    ライツと冥王星のアスペクトだけを言うと太陽90、月合です笑
    本当にぐらぁっと感情がやられる。今まさに母(父)から受けたダメージを思い出して月 冥王星で検索してここに来ました!
    私は占星術を独学でまだ2年ほど。まだまだです。
    このぐわぁと飲み込まれるのは冥王星の影響だと思うだけでも楽になるのですが、その時はそれも思い出せなかったりして、あとからもしやあれって…冥王かぁ!なんて思ったりします( ˙꒳​˙ )

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    1. にゃんぴーさん、コメントありがとうございます。
      太陽に月-冥王星がスクエアという予測しにくい、中和の無いアスペクトを形成していると、おっしゃるように"ぐわぁっと呑み込まれてしまう"のは無理もないことと思います。
      この組み合わせは「記憶の断絶」とも関連がありますので、呑み込まれている最中はなかなか自覚できない面もあるのです。

      ただ、冥王星を個人でコントロールすることは不可能であっても、占星術を学ぶことによって、そういった衝動を「どう扱うべきか」、良いヒントを与えてくれるのではないかと思います。
      にゃんぴーさんのように「冥王星の意志の中で生きる」方は、個人の能力を大きく超えたことを成し遂げられる可能性を持つ方でもあるからです。
      私もまだまだ未熟ですが、お互いがんばりましょうね(*^o^*)
      ありがとうございました。

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  3. じっくりと冥王星と月を考察して、このブログに辿り着きました。私はMCと冥王星が合、月とスクエア…その月がテイルと合です。神様は私の思いや感情を無視するかのように物事を進めてしまう…。心や魂がどんなに叫んでも、状況が許されない方向へと向かっていくことに何度、死を乗り越えてきたことでしょうか。それは心の死そのものだった気がします。でも腹が据わった途端にスイッチが入る。神様は私を、どこへ向かわせるおつもりなのでしょう…常に思います。「記憶の断絶」と書かれていましたが、私は「乖離」「PTSD」を患いました。ドキッとしてコメントさせて頂いています。

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    1. Unknownさん、コメントありがとうございます。
      出生図全体を拝見しないと何とも申し上げられないのですが、一般的に、月-ドラゴン・テイルの合を持つ方は孤独を感じやすく、ご自身の感覚だけを頼りにしなければならない状況を強いられる方が多いように思います。
      また、その月がMC-冥王星合とスクエアを形成することで、ご家系の問題・カルマといったものを背負わされやすく、因縁めいた出来事に縛られやすい傾向もおありなのではと思います。

      物事がご自身の意志とは真逆に進んでいってしまうのは、太陽・月-冥王星のアスペクトを持つ方、共通の苦しみでもあります。
      しかし、Unknownさんがおっしゃる「神様」=「冥王星の意志」というものが一体どのようなものなのか、占星術は良いヒントを与えてくれるのではないかと思っています。
      そのヒントは「乖離」している月を「死」から「生」へ向かわせてくれるヒントでもあるからです。

      Unknownさんの「生」の面であるポテンシャルの高さ、人への影響力の強さが生かされることをお祈りしています。
      ありがとうございました。

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  4. 冥王星と月180度ですね。緩くなのですが、月だから6度位みてもありなのかなと思ってますが、いかがでしょうか。
    この過眠というところに、なるほどなと納得もあり書き込みしています。仕事により短時間睡眠というのか、4~6時間の生活もしていましたが休日は当然寝溜めですし、長くは続けられなくて体を壊し辞めることになります。冥王星の調停ですかね。
    長く眠れば体も調子よくなるし、頭もスッキリして心も楽なんですよね。でもなんでこんなに長い睡眠が必要なんだろうと思っていました。
    ですが占星術をお勉強していくと、私の人生でのなんで?!が解消されていきますね。不思議です。

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    1. はじめまして。コメントをありがとうございます。
      月-冥王星のオーブが6度とのこと、充分アスペクト適用の範囲内だと思います。

      オポジション(180度)は円(360度)を2分割するアスペクトであることから、環境に自分自身を割り込ませていくようなニュアンスを持ちます。

      月のサインやハウスによってそのニュアンスは様々ですが、冥王星という「生と死の境界線」を司る天体が月と関わることで、その"割り込み方"が極端な形を帯びてくるのは否めないように思います。
      「過眠」も、このアスペクトが持つ数多くある影響の中のひとつなのでしょう。
      それでもオポジションという配置は、物事を前へ前へと推進させていくためには有用なアスペクトです。

      生まれた瞬間の太陽系の配置は超自然的なもので、そこに意図はありません。
      しかし小さな地球上で暮らす私達が、その「偶然の産物」によって様々な影響を受けていると考えることで、また新しい視点を得ることができるのかもしれませんね。
      ありがとうございました。

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    2. お返事ありがとうございます。
      環境に自分を割り込ませていく感じですか。
      物事を前へ推進させていくためには有用とのお返事で、何だかいいイメージが持てますね。
      私は月は牡羊座の3室です。
      アセンダントが山羊座なのですが、アセンダントを冥王星が通過した辺りも、やっぱり死と生の境界線という象徴にぴったりな経験をしました。
      初めての事でとても強烈な体験で本当に怖かったのですが、その事により本気で本当に大事なことが見えた気がします。
      過眠、長時間睡眠が必要な体質ということは、一般的にはマイノリティでなかなか理解は得られませんが、自分自身が受け入れて、自分の一部として大事にしましょうと、今回の経験では教わったのかなと感じます。
      とても強烈でしたが私自身貴重な気付きでした。
      記事の内容とは少し違ってしまいましたが、どなたかの参考になればいいなと思いまして、書かせて頂きました。

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    3. 冥王星は太陽系の最外郭にある天体であり、宇宙的影響を直接持ち込む天体ですから、小さな地球上に住む私達にとっては、時に理解不能な出来事として表出するケースも多いですよね。

      しかし、おっしゃる通り、その出来事から意味を見出そうとする取り組みがご自身への深い理解につながるのだと思います。
      貴重なお話しをシェアして下さり、ありがとうございました。

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