2017/06/01

2ハウスについて


2室は「所有物」を表すハウスです。勿論、金銭収入の能力を示すハウスでもありますが、所有するものは資産だけではありません。


1室が示す「個の主張=精神」は2室で初めて「肉体」を持ちます。それは両親から授かったものでもあります。
赤ちゃんは成長するにつれ、自分の肉体を意のままに動かすことで感覚・知覚が発達していきます。それは精神が肉体と同化していくということでもあります。
それは同時に、外界からの刺激を受け入れる性質が発達していくことも表します。私達は、生まれ育った環境に準じてそれぞれ「どのように生きていくのか」ということを模索しようとするのです。

つまり、2室は「物理的な肉体」を表すというよりは、感覚・知覚・両親(先祖)から授かった資質・才能、心理占星術では「自己価値」をも表します。それは私達それぞれの「所有物」でもあるからです。



1756/01/27 20:00 ザルツブルグ
演奏家・作曲家であるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)の出生図です。
出生時間はアストロ・データバンクより転載しています。

言わずと知れた「天才」。35歳という若さで亡くなりましたが、その短い生涯で900以上にも及ぶ作品を残しました。

特筆すべきは、それらの作品がそれぞれ全く違う要素を持つ――驚くべき多様性を持つということでしょう。

幼い頃から父親に連れられヨーロッパ中の宮廷で演奏し、その技術は勿論、突出した記憶力で天才だともてはやされました。初めての作曲は5歳のときでした。



Asc-Decの軸にノード軸がコンジャンクション。ドラゴンテイルには天王星もコンジャンクションしています。
ノエル・ティル氏はAscにアスペクトする天王星を「早熟」と表現しています。ヴォルフガングの場合、ノード軸とも関わりますので、その早熟さが非常に特異な、目立つ形で大勢の人を巻き込んで注目されたのでしょう。また、このノード軸は生涯においてたくさんの人との出会いがあったことを表しています。

しかし4室の射手座の月-冥王星のコンジャンクションが天王星とスクエア。水瓶座太陽-水星が獅子座海王星とオポジション。
これは彼が人から傷つけられやすく、また心の安定を得ることに大変な苦労が必要だったことも示しています。

幼い子供には過酷すぎる、根無し草のような長旅。異常な練習量。さらに、父親が息子の天才性を宮廷にアピールするために、目隠しをしたり、鍵盤を隠したり、一本指で演奏させたりと「見世物」のような扱いをしたことが、のちのヴォルフガングに影を落としました。
実際、こういった配置を持つ人は自分らしさを否定されて育った方が多く、特に対人関係において防衛心が強く働く傾向を持つように思います。

しかし同時に、これらの配置は、無意識からくる「啓示」のようなものが、自我を消し去られるような感覚と共に彼の中に息づいていたとも解釈できます。



ヴォルフガングの手紙を一部引用します。(訳 / 小林秀雄「モオツァルト」より)

構想は、あたかも奔流のように、実に鮮やかに心の中に姿を表します。しかしそれがどこから来るのか、どうして現れるのか私には分からないし、私とて、これに一指も触れることができません。
後から後からいろいろな構想が私に迫ってくるのです。(中略)そしてそれは、たとえどんなに長いものであろうとも、私の頭の中で実際にほとんど完成されます。(中略)心のうちで一目でそれを見渡せるのです。(中略)
大した御馳走ですよ。美しい夢でも見ているように、すべての発見や構成が想像のうちで行われるのです。
いったんこうして出来上がってしまうと、私は容易には忘れません。このことこそ、神様が私に賜った最上の才能でしょう。だから、後で書く段になれば、脳髄という袋の中から取り出してくるだけです。
周囲で何が起ころうとも私は構わず書けますし、また書きながら鶏の話、家鴨の話、あるいはあれこれ人の噂などして興ずることもできます。


ドイツの研究者、オットー・ヤーン(Otto Jahn)によって保証されたこの手紙は、ヴォルフガングの天才を表すものとして世界中の研究者が引用しているものです。
彼の「才能」は大いなるものの意志によってもたらされたのだと思えてなりません。

天王星とスクエアを取る月-冥王星がセクスタイルしている2室の天秤座木星。それが彼の枯れることのなかった才能の根幹を成しているのでしょう。

そしてその「才能」が彼の人生の道を決めたのです。
改めて、2室という場所は「所有する才能」という意味を示すのと同時に、「所有したものによって所有される=縛られる」ハウスなのだなと思います。



ヨゼフ・ランゲによる肖像画
さて、この天秤座木星は一般的に、誰とでも分け隔てなく付き合うことができ、細かいことは気にしない性質と、親しみやすい雰囲気を持ちます。

ただ、2室は「消費すること」にも関係するため、木星があると金銭に関してはアバウトで、ずるずると浪費してしまいやすいのです。

彼の2室カスプは天秤座。ルーラーの金星は6室にあり、状態も良いため金銭を稼ぐといった点ではあまり障害はなかったはずです。

近年の研究でも、実際は割と収入があったのではないかとされるヴォルフガングですが、実際に生活にあえいでいたのは、それだけ出ていくお金が多かったということなのでしょう。



また、その2室のカスプですが、ルーラーが同じ金星でも、牡牛座とは違い、天秤座はよく「対人関係」を表すとされています。
天秤座のもうひとつ重要な観点として、いろいろな人の様々な意見の最大公約数的な知見、つまり普遍的な知見を求める衝動が強いということが挙げられます。

前述したように、2室ルーラーの金星は6室に在室。水瓶座30度にあります。この度数は個人の個性や時代を超え、全ての人類にとって普遍的なものを模索する度数です。

このルーラーの流れは、彼がそういった概念へ到達するための血のにじむような努力と、緻密な仕事で芸術に奉仕することを示しています。
実際、ハイドン(Franz Joseph Haydn)に弦楽四重奏(いわゆる"ハイドン・セット")を献呈したときも、「これらの"子供達"が、私の長い間の刻苦精励による結実であることを信じていただきたい」という言葉を残しているのです。

今でも世界中の人々が彼の音楽を聴き続けているのは、ヴォルフガングの音楽が努力の末に「普遍的」境地に達していたことを示しているのでしょう。



「天才とは努力し得る才である」とゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)の言葉にある通り、改めて、「才能」とは、制約や障害を自ら生み出すことができる人であると同時に、それらを乗り越えるために努力し、思考して創造性につなげることができる人に与えられるものなのだと思います。

2室に天体が多くあると、その資質を使って生活する方が多い印象があります。
しかし、ナチュラルハウスが牡牛座ですから、他人がどう思おうと気にせず、あくまで自分が楽しいと思う独自の考え方・独自の価値観で心地良く暮らすことを求めるのです。

ヴォルフガングも、ピアニストとして楽しく安穏と暮らしていても良かったのに、なぜそんなに苦しい道を選んだのか。
それは2室に木星を持つヴォルフガングが、根本的な自分の「価値」を信じていたからなのではないかと私は思っています。
私も2室に天体が2つもあるため、モーツァルトの曲に触れるたびに、安穏としている自分を省みて身につまされる思いになるのです。

モーツァルトについては、私の文章力ではいまいちお伝えしきれないため、もしご興味を持って下さった方は、1984年に制作された映画「アマデウス」をオススメします。
私はもう何十回観たか分からないくらい、大好きな作品のひとつです。
映画なので勿論、史実の設定等、正しくないところも多いのですが、あらゆる意味で非常に2室木星的なヴォルフガングをご覧になることができるのではないかと思います。

2 件のコメント:

  1. うたこさん、私もアマデウス大好きです!
    うんうん!と激しく頷きながら読ませて頂きました!笑

    うたこさんのリーディング、いつも詩的で、その細やかな感性に、ぐっときます。
    詩的といっても曖昧ということではなく、センスという意味です♡
    とっても勉強になりますし、読みながら、こういう時間が最高に幸せ!と感じるわたしであります♡

    これからも楽しみにしています(*´³`*)♥︎

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    1. Yayoiさん、コメントありがとうございます。
      Yayoiさんもアマデウス好き仲間でしたか!(*^o^*)濃い映画ですよね(笑)
      また、過分なお言葉に恐縮しております…ほんの少しでもお役に立てれば嬉しいです。ありがとうございます。

      Yayoiさんも才能あふれる2室をお持ちですよね。現在t海王星が通過しているため、今のお仕事でもっと輝いていかれることと思います。
      ますますお忙しくなられると思いますが、どうぞお身体ご自愛下さいね。ありがとうございました。

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