2017/08/13

金星-海王星のアスペクトについて


金星は快楽や嗜好、感性や美意識、人間関係など司る天体です。
金星のサインやハウスによって違いが出てきますが、その金星に海王星がアスペクトを形成すると、個人的な趣味嗜好の領域を超えていくようなニュアンスを帯びてきます。


まずは、手前味噌で申し訳ないのですが、過去の記事("t海王星について")から、海王星のキー・ワードを再掲したいと思います。

海 / 水 / 雨 / 霧 / 泡 / 液体 / 石油 / 酒 / 医療 / 薬 / 癒し / リラックス / 浄化 / 宗教 / 芸術 / 芸術表現 / イメージ / 創造 / 妄想 / 混沌 / 混乱 / スキャンダル / 夢 / 希望 / 博愛 / 精神 / 無意識的な領域 / 麻痺 / 幻想 / 幻滅 / 霊感 / 超感覚 / スピリチュアル / 犯罪 / 詐欺 / 欺瞞 / 虚構 / 曖昧さ / 麻薬 / 中毒 / 汚染 / 浸食 / 溶解 / 喪失 / 不倫 / ウィルス / 感染 / 注意散漫 / 拡散 / 引き寄せ / 非時間性 / 非空間性 など

つまり、金星-海王星というアスペクトは、極めて個人的な趣味嗜好に、海王星という「曖昧」であり「無意識的なもの」「浮世離れしたもの」が流れ込んでくるアスペクトであるということになります。
海王星だけでなく、同じくトランスサタニアンと呼ばれる天王星や冥王星も、地球上での国や地域といった小さなコミュニティの中でそれぞれ生きている私達に、「宇宙」という並外れた、想像もできない、非現実的な規模の意志を持ち込むのです。

ですから、教科書の金星-海王星の項によく書いてある「クラシック音楽の演奏者が多い」のも「芸術家が多い」のも、無意識的・夢幻的な領域(海王星)からのアプローチによる「何かを表現せずにはいられない」衝動によるものであると思われます。

その衝動や影響は、ソフト・アスペクトであるトラインやセクスタイルなどの場合より、コンジャンクションやスクエア、オポジションなどのハード・アスペクトの方が、やはり顕著に出やすいようです。



1883/08/19 16:00 ソーミュール
左図はファッションデザイナー、ココ・シャネル(Coco Chanel)の出生図です。

5室牡牛座海王星が8室獅子座の太陽・金星にスクエア。金星にはこのアスペクトしかないため、海王星の象意に向かって過剰に働きます。
太陽には双子座冥王星もスクエアを形成しています。

歌手を目指していたココでしたが、帽子のデザインを認められ、当時の恋人だった将校の援助によって専門店を開業します。

8室の金星は男性の運を上げる、いわゆる「アゲマン」であることを示します。要はパートナーをサポートすることに長けているということです。

仕事に関しては誰の指図も受けない、非常に頑固でワンマンであったというココですが、同時に、人と人をつなぎ、またどんな場でも上手に和ませ楽しく盛り上げることができる「潤滑油」となれる、細やかな気遣いができる女性であったと言えます。

双子座火星がコンジャンクションしている7室カスプのルーラー(支配星)が8室後半の水星に飛び、人から傷つけられやすいといった面がありつつも、"一蓮托生"とも言えるほど濃密で深い男性との関係性を持ちます。
また、そういった男性達からの影響も強く、実際に仕事面でも大いに生かされていたようです。

このルーラーの流れは、男性からの金銭的な援助もしてもらいやすいですが、乙女座水星-天王星と魚座月のオポジションは、男性とそういった濃密な関係を持ちつつも、あくまでココ自身が単なる「愛人」という枠に収まらない、当時は珍しかった「かなりぶっ飛んでいるけれど、自立している女性」という前提の上での関係であると推察できるのです。


ココ・シャネル
そういう意味で、「女性の真の解放・自立した精神」という、それまで誰も考えたことのなかった斬新なテーマでデザインした、コルセットを排したジャージー素材のシンプルなスーツや、挑発的な香りの香水――ココの仕事は、出生図の乙女座水星-天王星-魚座月のアスペクトが示す哲学によって体現されていると言えます。

しかし同時に、その仕事は金星-海王星が示す彼女の類まれなる才能と美意識があってのことでした。

前々回の記事で宮沢賢治の金星-海王星スクエアについて少し書きましたが、ハードアスペクトの中でも特にスクエアを持つと、浮世離れした雰囲気が出てきます。

また、金星が示す恋愛や金銭に関しても、輪郭が融かされたかのように漠然として、曖昧な面も出てきやすいです。それは海王星が「枠」や「緊張」、「抑制」という象意のない、際限無く広がっていく天体だからでしょう。そもそもスケールが違いすぎるのです。

海王星はそのケタ外れのビジョンを金星に向けて授けてくれますが、時間や空間を超えて、良くも悪くも、全てを引き寄せ、取り込んでしまう性質を持つ天体でもあるのです。

そういった面も含め、華やかな男性遍歴を重ねたり、戦時中でも莫大な金銭の援助を受けて浪費しがちであったりしつつも、現在でも世界中の女性の憧れである"シャネル"は、ココという女性の魅力が海王星の作用によって普遍的なものになりつつあることを示しているのかもしれません。



さて、以下はショッキングな内容を含みますので、大変申し訳ありませんが、敏感な方はお読みになるのをご遠慮下さいますよう、お願い申し上げます。


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先ほどは、華やかな成功者であるココ・シャネルについて書きましたが、金星-海王星の象意が「負」の面で出てきてしまう人も少なくありません。

ただ、地球上に住む私達の価値観で照らし合わせて「負」だと感じること(例えば、お酒やドラッグなど)でも、海王星という天体にとっては「正」も「負」も無いのです。
その「清濁併せ呑む」ような、「一事が万事」といったような象意のまま、ただただ圧倒的な影響を与え続けるだけなのです。



1967年生まれ

左図はパメラ(Pamela)(仮名)という外国の女性の出生図です。データと情報はアストロ・データバンクで公開されている研究資料の中から転載させて頂いております。


パメラは虐待の被害者です。
わずか2歳のときから、母親が外出するとき、怒りを買ったとき、戸棚に長時間閉じ込められていました。

その戸棚は非常に狭く、寒いところなのですが、決して内側からは開かないのです。

2歳違いの弟がたまに戸棚を開けて助けてくれましたが、その弟も成長するにつれ、パメラに性的虐待、肉体的虐待を繰り返すようになります。

両親と弟による、言葉と肉体による暴力が続いたある日、パメラは弟によって天井から吊るされ、床に何度も打ち付けられて気絶し、大怪我をさせられます。
あまりにひどい怪我だったため父親が病院に連れて行きましたが、病院では「転んで怪我をした」と言い張り、息子をかばったのです。


Asc-Dec軸に土星-キロン、天王星-冥王星のコンジャンクション。世代相ですが、アングルに重なっているために、極限を超えた体験をさせられがちな配置です。
セスキコードレート(135度)が多く、非常に強いストレスとプレッシャーにさらされているのに、表に出せない葛藤が読み取れます。
8室の火星は人との境界線が曖昧で、土足で踏み荒らされやすい傾向を示し、5室木星とのスクエアがそれを助長させています。

9室の海王星。こういった、8室のほぼ終わりの位置にある天体は、人との関係性において良くも悪くも深く入り込んでしまう性質を持ちます。
そのため、この位置に天体がある人は、一般的には占いや心理学に傾倒する人が多いです。それは良くも悪くも人との深い関係性を築きがちなゆえに、「人の心」を客観的に理解しようとする方向への衝動と探求心が生まれやすいからだと言えます。

金星は先述したように趣味嗜好などを表しますが、あくまでも「受容する」天体ですから、8室終わり(9室)にある海王星とスクエアを形成しているこの金星は、どんなものに侵食されても、そもそも自分の境界線が曖昧になりがちですから、全て受け入れてしまうようなところが出てきます。

また、それが極限を超えた痛みを伴うもので、普通の人にはとても耐えられないものであっても、海王星が心の痛みをも"麻痺"させてしまう面もあるのです。



後年、パメラはまだ赤ちゃんである子供(誰の子供かは記載がありませんでした)を連れ、「親切にしてくれた男性」と家から逃げ出しますが、すぐにその男性のガールフレンドが現れ、子供だけ取られてしまい、男性と共にパメラの前から姿を消したのです。
子供を取り返そうと必死になるパメラでしたが、弟に見つかり、髪をつかまれ精神病院に入れられてしまいました。

精神病院でもパメラは職員や他の患者から激しい暴行を受けました。
また、退院した後も、女性の友人に頼まれ、その友人の弟の虐待とも言える性的行為を何度も受け入れたのです。



金星-海王星のアスペクトを持つ人は、限りない優しさと同情心も持ちます。
特にスクエアを形成すると、見返りを求めない過剰とも言える優しさ――時には"ありがた迷惑"と感じられるほど――が出てきてしまうのです。

リマーナすず先生は例として、「自分も泳げないのに、溺れた人を何とか助けようと飛び込んでしまうが、泳げないため当然助けられず、結局、逆に迷惑を掛けてしまう」というようなニュアンスが金星-海王星のアスペクトにはあるとおっしゃっていました。

ですから、このアスペクトを持つ人は、芸術活動・表現活動、またいわゆるスピリチュアルな活動での「はけ口」が必要で、かつ重要になってくるのです。

パメラが行く先々で極限的な体験をさせられてしまうのは、アングルに重なる天体ゆえであると推察できますが、根底には、自分の身体を受け渡すことで人のためになるのだと、傷付いている金星を自分でさらに痛めつけようとしていたのかもしれません。

このパメラのデータは外国の新聞記事に載っていたものだそうです。記事が出た時点では、弟の妨害に遭いながらも、精神面での治療を続けているとのことでした。



1953年生まれ
金星-海王星のアスペクトはお酒や薬物への嗜好・親和性ももたらします。

左図は「極度な意志薄弱」と診断されたブライアン(Brian)(仮名)の出生図です。

ブライアンは重度の薬物中毒者です。
すでに自分をコントロールすることができず、昔から、いわゆる「普通の、平凡な生活を送ること」に対して異常な嫌悪感を持っていました。
そのため薬物という非日常にのめり込んだ結果、依存が進み、うつ病を併発し重く塞ぎ込み、どんな小さなことも達成することができないと言います。


非常に力も能力もある出生図ですが、土星-海王星を頂点とした月-キロン、金星-天王星のTスクエアが形成され、刺激を求め続け、非日常なものへの嗜好を持ってしまいがちな傾向も出てきます。

まだ私の検証数が少ないのですが、薬物中毒者には「金星-海王星」のアスペクトの他に、「太陽-海王星」「金星-冥王星」のハードアスペクトが特に目立っているように思えます。人によって薬物と出会う状況・動機がそれぞれ違うということです。

ブライアンの場合も、月や金星が重いTスクエアに巻き込まれ、非常に鬱屈した内面を抱えてしまう傾向が強いですが、芸術活動やボランティア活動で「非日常感」を追求し「はけ口」にすることができていたなら、と思ってしまいます。



今回は金星-海王星のハードアスペクトについて、異なる視点から3名の出生図を見てみました。

このアスペクトは最初に書いたように本来、直感的で美しいビジョンを得られる組み合わせです。
そのために、常に前向きで明るいイメージを努めて持つことも大切になります。金星との関わりだけでなく、出生図で海王星が強調されている方の場合、負の面も含め、イメージが具現化しやすいからです。

今回の3名の出生図はどれも「極端な例」であり、それぞれほどほどに、うまく使えている方が圧倒的に多いということを最後に付け加えておきたいと思います。
海王星が効いている方は、芸術活動に打ち込んだり、良いイメージを持ったりして海王星の「正」の面を存分に発揮して頂ければと思っています。

4 件のコメント:

  1. 金星と海王星のスクエアで検索してこちらにたどり着きました。
    私は、金星(8室魚座)と土星(2室乙女座)のオポジションに海王星(5室射手座)がスクエアで絡むtスクエア持ちです。
    天王星(4室蠍座)が調停に入っていますが・・・調停に天王星を使うというのが上手くイメージがつかめずです。
    なので、私も海王星をうまく使えばいいのかな…と思っています。
    頑張っていこうと思います。

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    1. yumiさん、コメントをありがとうございます。
      トランスサタニアン(天王星・海王星・冥王星)は影響力があまりに甚大ですから、一個人が意識しようとしても限界があります。

      むしろ「人の意向に沿おうとしがちな」yumiさんの金星――大好きな世界観や趣味を心から楽しみ、ワクワクするものを積極的に追究していくことが、改めて「海王星を意識する」ことにつながっていくと思いますよ。
      ありがとうございました。

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  2. はじめまして。私も金星海王星で検索して辿り着きました。
    やはり金星とトランスサタニアンのエネルギーは表現活動で発散するのが安全なのでしょうか。私の金星は3つのトランスサタニアンとアスペクトを形成していますが、確かに幼少期からいつも何らかの表現活動をしていました。異性関係や経済面では良くも悪くも不可思議な現象が起こりやすいのですが、表現活動を続けることでこれらが安全な状態に保たれるならと祈らずにおれません。

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    1. itoさん、はじめまして。コメントをありがとうございます。

      金星のような個人天体は特に、サインやハウス、具体的なアスペクトや全体像を拝見しなければ何とも申し上げられないのですが、「表現」という一側面だけを考えると、それは金星というよりは、出生図のハウス内の天体やマイナー・アスペクト(ハーモニック)が強く効いている可能性があります。

      ただ一般論として、金星と3つのトランスサタニアンとのつながりは、様々な意味で「極限体験をする金星」――「独自の感性」だけでなく「受け入れていくこと」についても「境界線を超えていく」方向性を持つと言えます。

      トランスサタニアンは一個人でどうこうできる天体ではありませんから、「表現活動をすることによって安全圏に入る」と言い切ることはできません。
      しかし、itoさんの独自のセンス、突出した感性を常に磨き上げていくことが、itoさんを更なる高みに引き上げてくれます。そこから得られるもの(表現力・金銭・人間関係など)はとても大きいと思いますよ。
      ありがとうございました。

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