2017/09/12

IC(イムン・コエリ)について ~家系(ルーツ)の影響


ICとは、黄道と子午線の最北の交点を指し、ラテン語でイムン・コエリ(Imum Coeli)――天の底、もとい"北中(点)"と呼ばれる感受点です。出生図上では4室のはじまり(カスプ)にあたります。

4室は一般的に「家庭」などの象意を示しますが、"底"にあるICは最も私的な部分と言われ、家庭など目に見える部分よりもっと深い、両親からの継承・家系のルーツ、生まれた国の伝統・風土の影響までも表すとされています。

ですからICは一見、最も「底」であり、家族や個人という地球上で最も小さな単位を示す場所であるにも関わらず、ある意味非常に大きく開かれた場所であるとも言えます。
それは、地上を表すポイントである"アングル"(Asc・MC・Dec・IC)が全て、宇宙からの圧倒的な影響をはらんでいる"黄道"と交わる場所だからです。
そういう意味で、"アングル"にトランジットなどで天体が重なるとき、宇宙からの影響と地上の事象とが混在して、大きな変化を引き起こすのは必然と言えます。




さて、それらの"アングル"の中でも"南中(点)"MC――メディウム・コエリ(Medium Coeli)とICの子午線軸は、大まかに言えば、社会的な側面と個人的な側面といった対比がなされることが一般的です。個人の意識(IC)の殻を破り、集団的な意識(MC)に接触していく軸だと言えます。

ノエル・ティル氏の心理占星術ではその概念をさらに精密化させ、子午線軸を「両親軸」と定義しています。
幼少時の家庭環境の問題や両親との緊張した関係性が、自己肯定感の欠如を生み出したり、劣等感を生み出したりしている――それらが後の個人の行動や思考にどのように影響するか、といった面に言及しているのです。

子午線に何らかの天体が重なっていると、そういった概念が強調されます。それは単に個人的な枠や両親を示す枠に収まらない、「家系=ルーツ」といった概念です。

今回の記事は、家系=ルーツの影響が強いと思われる夫+3名の方の出生図(全て内容を含めた掲載許可を頂いております)をシェアさせて頂き、ICに重なる天体について、またトランジットなどの影響について書いていきたいと思います。



左図は夫の出生図です。

ICに射手座太陽が重なっています。ICのルーラーは8~9室木星に流れ、裏表のないこだわりの無さや、理想主義者ゆえに、自分の範囲を超えていろいろやりたがる傾向が出てきます。

夫はいわゆる"跡取り息子"ですが、夫の家は土地があるだけで、特に名家でも何でもありません。夫の太陽に彼の父親の木星がぴったりとコンジャンクションしています。

夫は独身時代、長らく実家から会社へ通勤していましたが、この軸にt冥王星が重なった期間は、退職・転職に伴い1人で暮らすための引っ越しをし、婚約もしました。

また、入籍や式の直前に父方・母方の祖母が長患いの末相次いで亡くなったことで、延期が検討されましたが、結局予定通り行われ(私は土星回帰の時期でした)、2人で新しいアパートに引っ越しました。

夫の4室ルーラーであるn木星にt土星がオポジションを形成した3年前、夫の実家に戻り二世帯住宅で暮らしています。
現在ICにt土星が重なろうとしているからか、今までは父親がやっていたことを夫が代わりに行わなければならないような出来事がいろいろと起きています。
父親はまだ元気ですが、少しずつ「代替わり」を進めることによって、より深く夫と夫のルーツが融和して地固めがされていくのではないかと思っています。



Aさん(男性)
次はAさん(男性)の出生図です。

ICに蠍座月がコンジャンクション。ルーラーの冥王星は3室に在し、山羊座海王星とセクスタイル。
同時に、冥王星を頂点としてバーテクス(Vt)、ドラゴンテイルと小三角を形成しています。

Aさんは大変な勉強家です。
金星の位置が双子座21度。「身体感覚が無くなるほど」限界を超えて知性の追求をしようとする度数です。
勉強し、興味の有無に関わらず、様々な知識を得ることこそがAさんの楽しみであり、ライフワークでもあるのでしょう。

11室の蟹座水星が含まれるレクタングルはこの金星の要素に加え、尽きることのない思考の巡りのようなものも生み出しますから、たとえ身体を休めていても頭の中だけが高速で回転し続けているようなニュアンスも帯びます。
4室(IC)のルーラーが3室に流れ込んでいるということ等から、特に「身近なところ」に知性が働きます。誰も気付かないような視点の細やかさや過敏な神経が強調されてくる、全体的にセンシティブな出生図だとも言えます。

Aさんは古くから続いている家系の子孫で、大学時代から彼の家系についての論文を執筆したり、古文書を紐解いて家系図の研究をしたりされています。
ご兄弟が複数いらっしゃるとのことですが、こういった取り組みをされているのはご兄弟のうち、Aさんだけだということです。
月の支配サインである蟹座は12室のカスプ。家でひとり、家系に関する勉強や研究を進めているときこそがAさんにとって最も充足する時間なのでしょう。同時に、それはAさんにとって、ご自身のアイデンティティを確認する行為であるのかもしれません。

子午線軸は一般的にMCが父親、ICが母親を示すとされていますが、古典ではその逆とされています。
このあたりの判断は私にはまだ難しいのですが、主要なアスペクトにノード軸が関係していることからも、「(父方の)家系」といったものにこだわらずにはいられない、またコミットせざるを得ない衝動がAさんの中に常にあるのだと思われます。



Bさん(女性)
Bさん(女性)の出生図です。

蠍座Ascに月、獅子座MCに太陽、水瓶座ICに木星が重なり、Tスクエアを形成しています。Decの近くには火星-キロン。
水瓶座ICのルーラーの天王星は12室に在し、6室~7室にかけての火星-キロンとオポジション。9室蟹座水星を頂点としたTスクエアを形成しています。

また、ミッドポイントではいわゆる"牡羊ポイント"(Aries points)に関わる天体が多く、良くも悪くも目立ちやすく、注目を浴びやすい性質を持ちます。

Bさんのお父様は、超一流企業の部長職。お母様は専業主婦で、何不自由の無い、普通の生活を送っていたそうです。
しかしtノード軸やt土星がIC木星に相次いで重なり、SA天王星がnAsc-月にコンジャンクション、牡羊ポイント(HN8)にもt冥王星が触れた頃、お父様が突然会社を辞め、退職金を投資につぎ込んで失敗し、借金を背負うことになってしまいました。

引っ越したアパート先で廃人のようになってしまった父親、他人事のように呑気にしている母親、精神を病んでしまった姉や妹を養うため、Bさんは進学を諦め、ひとりでがむしゃらに働き始めたのです。

その後、t天王星やt海王星がIC木星にコンジャンクションするタイミングで、事業に失敗した父方の親戚から頻繁に頼られるようになってしまいました。どんなに拒否しても、お父様が引き入れてしまうのです。
金銭の無心、借金や交通事故等の後処理まで奔走せざるを得なくなってしまいました。

Ascに重なる月は、身近な人の思惑や気持ちを吸収し振り回されやすくなる面があるため、必然的に変化が多くなります。蠍座のルーラーは11室へ。客観性と冷静さ、忍耐力が加わるのです。
さらに水瓶座4室ルーラーが12室天王星に流れ込んでいるため、"人の思惑を感じやすいアンテナ"がさらに強調されることになります。

Bさんの場合、ICに天体が巡ってくるたびに、家族(家系)の見たくない部分、業のようなものが浮き彫りになってくる傾向があるようです。
Bさんがそういったことに対して家族の代表として矢面に立ち、全て背負って対処せざるを得ないのは、アングルに重なる天体に大いに関係があるのかもしれません。



Cさん(女性)
最後に、Cさん(女性)の出生図です。

子午線軸には魚座金星-乙女座冥王星のオポジション。Mc-金星を頂点とし、火星・土星・冥王星とのカイトを貫いています。
同時に、牡牛座土星-蠍座Vtが貫くカイトも形成されており、いわゆる"エンベロープ型"を形成。

乙女座ICのルーラーである水星は11室で太陽とコンジャンクション。Vtと、IC-冥王星とでYODを形成しています。

Cさんは4人姉弟の長女です。
ご祖母様がCさんのお母様を妊娠中、重い感染症にかかってしまい、お母様には生まれつき知的障害がありました。
お父様はお酒を飲んで暴力を振るいました。お母様を傷付けることはありませんでしたが、長女のCさんにその矛先が向かったのです。

世代相である海王星-木星のコンジャンクションに魚座月がスクエアを形成するCさんはかなり"天然"と言えますが、愛情に満ちた、とても心の優しい方です。
ただ海王星-木星の組み合わせは、心の痛みをも麻痺させてしまう作用も持つため、両親に承認されたいという無意識の欲求から、犠牲的な行動を取ってしまうところも出てきてしまいがちなのです。

後年、n火星にtノード軸(ヘッド)が重なった頃、2人の弟さんのうち、まだ10代だった1人が亡くなられました。突然の心臓発作でした。
9年後、n火星にtノード軸(テイル)が重なった頃、一生懸命働いて家計を支えてくれていたもう1人の20代の弟さんも、同じ病気で突然亡くなられるという不幸に見舞われます。その49日後、お酒で身体を壊し、Cさんが長年世話をしていたお父様も亡くなられたのです。
Cさんのn火星はミッドポイント(HN8)で、MC/テイル、冥王星/テイル、土星/冥王星の軸を満たしています。
その後、t天王星がMCに重なった時期にお母様が亡くなられた後は、Cさんと妹さん、2人だけになってしまったのです。



出生図で子午線軸に冥王星がコンジャンクションしていると、勿論全体のアスペクトにもよりますが、権力志向を持つ、または実際に権力者となるケースも出てきます。特殊なイデオロギーを持ったり、アウトローな世界に関わったりするケースもあるようです。

ただ、特に冥王星がICに重なると、Cさんのように、家庭(家系)に関する因縁めいた出来事が起こるケースもあるようです。
同じ配置を持った蠍座ICを持つ方(女性)は、物心ついたときから「先祖代々の墓を守るためにお前は生まれたんだ」と何度も言い聞かされて育ったとのことです。
どこか遠くへ移り住みたいのに、様々な要因があって、結局地元から離れられない。そういったケースもありました。



松村潔先生の「完全マスター西洋占星術」では、ICは「人と共存することで得る心理的な満足感」であり「安心できる生活の基盤」である、と書かれています。
ICではじまる4室は勿論「家庭の状況」を表しますが、実際は必ずしも血縁関係を示すものではなく、還っていく心のよりどころのような象意もあります。IC自体には「死後」という象意もあるのです。

ただ、上記のように、地上との接点である"ICそのもの"に天体がある場合、どうしても血縁関係やそのしがらみの影響を受けてしまうニュアンスが出てきがちなのではないかと思っています。
次の記事では、ICを含めた4室について書きたいと思っています。

※一部内容を加筆・修正いたしました。(2017/09/13)

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