2017/10/03

4ハウスについて


4室のナチュラル・サインは蟹座です。一般的に、家庭の状況・両親・故郷などの「基盤」を表します。

4室(蟹座)に至る、1室(牡羊座)から3室(双子座)までの流れを大まかに示すと、

  • 自分自身をこの世に押し出す(1室:牡羊座/活動宮/火/支配星:火星)
  • 確かな感覚を得た上で自己価値を高める(2室:牡牛座/固定宮/土/支配星:金星)
  • 外部からの刺激を得て知性を発達させる(3室:双子座/柔軟宮/風/支配星:水星)

といった「個人」としての能力を育成していく流れと言えますが、そういった取り組みができるのは、4室という「基盤」があるからこそだとも言えます。

最も小さな単位である「家族」から始まり、地域、国、果ては地球という「集団的」な地盤の風土(4室)に自分自身をうまく適応させられるよう試行錯誤することによって、上記の3点――「個人の能力」が発達していくからです。


例えば、同じ日本で育ったとしても、山や川などの自然が身近にあることが当たり前、という環境で育った人と、都会の真ん中でたくさんのお店や施設が近所にあることが当たり前、という環境で育った人では、成長過程において、それぞれ周りの環境への適応の仕方は違ってくるはずです。
蟹座(活動宮/水)の支配星は「月」ですから、4室は無意識に習慣づけられた・習慣として刻み込まれた場所でもありますし、存在して当たり前なものであるわけですから、意識にのぼってきづらい・自覚しづらい場所でもあるのです。

逆に言えば、活動していく上の場所や環境に無意識に違和感を覚えやすいのも4室の特徴と言えます。
リマーナすず先生は、職業を鑑定する際のひとつの観点として、4室の重要性に言及されていらっしゃいます。4室は集団性を表すハウスでありながら、そこに立脚していく個人的かつ主観的な場所でもあるわけです。
ですから、4室は単に血縁関係(家族)を示す場所ではなく、習慣に基づいた心の拠り所、といった「気持ちの上での」、また「個人的な」基盤であるとも言えます。

ただそういった意味で、基盤(4室)の状態によっては、幼少期に個人の能力や自己肯定感を健全な形で発達させていくことがままならない、といった場合も実際に出てくるわけです。




1979/05/09 13:07 北九州市
まずは私の出生図をサンプルにしてみます。

4室の始まりであるICは射手座1度。

母は昔から西洋のものへの憧れが強く、私にクラシックのピアノを習わせたり、カトリック系の学校へ行かせたりしました。

4室には射手座海王星が在し、2室-8室の天秤座月-冥王星と牡羊座金星のオポジションを調停。
私の出生図で10天体同士唯一タイトなトラインを形成するのが海王星-金星なのです。
太陽を頂点としたブーメラン型YODの一角でもあります。


ピアノは4歳から始めましたが、その頃から続く母の密室での暴力・暴言はピアノに関すること以外も熾烈なもので、泣くことすら許されませんでした。
高校卒業後の進路も、私は他に勉強したいことがあったのですが、(母の憧れである)都内の音楽大学に主席で入れなければお見合いさせると有無を言わせませんでした。
それでも、外では「明るくて愛想の良い、子供思いのお母さん」で通っていたわけです。父は無関心でした。

ICのルーラー(支配星)は11室~12室の獅子座木星へ。木星は8室~9室の牡羊座水星-火星とスクエア。外からは伺い知れないような秘密を持つ家庭。家庭内における孤独感。
4室海王星の支配サインが7室・8室にまたがり、家庭内での居場所の無さ、といった象意を強調しています。

この4室海王星には射手座(木星)、蟹座(月)といった象意も含まれてくるため、私自身も理想主義的な傾向を帯びてきます。心の拠り所は「本(小説)」という空想世界だけでした。
n月のアスペクトも考慮した上でも、こういった4室であるため、立脚していける基盤は無に等しく、何につけても自己否定が先に立つために、(精神的に)健全に発達しました、とはとても言えない状況でした。

占星術を勉強し始めた当初、この4室の象意の流れを知って、夫との新しい家庭でも同じようなことを繰り返すのかと不安になったものでした。
しかし結局、4室海王星のルーラーの流れ通り、今度は「自宅にお客様をお迎えして"西洋"占星術(海王星)をする」といった形を取りつつあります。

そういう意味で、出生図は状況から形成される個々を映し出すものである、絶対的なものではあるけれど、自己の意識とタイミング次第でいくらでも前向きな象意に転換することができるのだ、と思っています。「心の拠り所」もそれによって変化していくものなのだと。

自宅でピアノ教室を開かず、占いの鑑定を始めたことで「どうして?もったいない!」と本当によく言われるのですが(笑)、このあたりは私の出生図のブーメラン型YODに大いに関連があるのでしょう。サンプルとしてまたの機会にシェアさせて頂ければと思います。




さて、4室のルーラーの流れによっては、自宅で仕事をすることへの適性を持つ方もいらっしゃいます。

Aさん
Aさん(女性)の出生図です(掲載許可を頂いております)。アクセサリー等作る、ハンドメイド作家の方でいらっしゃいます。

ICが蟹座で、4室の象意を強調しています。
ルーラーの月は5室~6室に流れ、9室射手座海王星-ドラゴンテイルにトライン、2室牡牛座キロン-太陽・双子座火星にスクエア。
4室蟹座金星は牡牛座水星とセクスタイルを形成しています。

Aさんは家政科のご出身です。
手先がとても器用で、非常に繊細でありながら、使いやすさと美しさも意識した作品を作られており、こだわりの強さを感じさせます。

いわゆる"オタク"っぽい嗜好を持つ傾向がありますが、それは流行にとらわれない独自の世界観を持つことの表れでもあります。
自分の家でひとり、材料に囲まれながら構想を練ったり作品を作ったりすることがAさんにとって至福のときなのでしょう。

金星の支配サインである牡牛座と天秤座は2室と7室。それらが4室への流れを作っていることから、ご自身の才能を使って家で仕事をし、販売をすることに適性があるわけです。

6室カスプ上の月は仕事熱心なキャラクターを作り、6室カスプのルーラーである水星も資質を示す2室に流れています。
加えて、2室太陽-キロンを頂点とする海王星-ドラゴンテイル・土星-冥王星のYOD。
主に対人関係での重さを感じさせますが、Aさんが持つスピリチュアルな感性を作品として形にすることで、ますます(金銭面含め)発展していけるのではないかと思います。



一般的に、金星が4室にある方の特徴として、一見"閉じた"シャイな感じですが、細やかな美意識・器用さと共に、住環境や食事についてのこだわりがある方、身近なもの(例えば家具・食器など生活に関連する全般)に意識が向きやすい、豊かな世界観を持つ方が多いように思います。
4室に射手座金星-海王星のタイトなコンジャンクションを持つ方では、鋭敏な感覚を生かし、ソムリエの資格をお持ちの方もいらっしゃいました。

いずれにせよ、4室(蟹座)に天体のある方は、個人の力を大きな集団性へ投げかけていくようなスケールの大きさを持ちます。
"蟹座生まれ"のアメリカ合衆国(独立記念日:1776/07/04)の独特の精神、音楽・文化等が世界中で影響を及ぼし続けているのも、独自の個性が大きな基盤(集団)の中で広がっていくからだと言えます。ですから、人気デザイナーやクリエイターの方も多いのです。




1899/11/29 23:30 イタリア ヴァルテッリ
左図はヨーロッパにおける19世紀生まれの最後の生存者で、今年(2017年)4月に117歳で亡くなったイタリア人、エンマ・モラーノ氏(Emma Morano)の出生図です。
今年2月の日蝕がDec上で起きていたのですね。

射手座4室に天体がオーバー・ロード。
10室双子座冥王星に対し、4室射手座キロン-火星-水星がノード軸と共にオポジション。
海王星に対しては火星-水星-土星-金星が、これもノード軸と共にオポジション。3室の天秤座月がそれらをゆるく調停しています。いわゆる"バケット型"と呼ばれる配置です。


エンマは8人兄妹の長女。本当に好きだった人は第一次世界大戦で戦死しました。一度、望まない結婚をして子供が生まれましたが、わずか半年で亡くなっています。

暴力的な夫に耐えかね、別居という形で75年間一人で暮らしました。キリスト教の影響が強い当時のイタリアでは離婚という選択をすることが難しかったそうで、女性から別居を申し出ること自体、とても珍しいことだったそうです。

冥王星-火星-キロンの組み合わせは、問題のある男性を引き寄せるといった象意を生むこともあります。夫との別居についてエンマは「私は誰からも支配されたくなかった」という言葉を残していますが、これは太陽-天王星コンジャンクションの象意によるものでしょう。


1930年撮影
ナチュラル・ハウスである蟹座は身近なものに視点を投影する面もあります。
トランスサタニアンからのアスペクトも踏まえると、実際のキャラクターとしてはちょっと押しつけがましい面も出てきそうですが、得てして様々なことによく気が付く、細やかな視点をお持ちの方のように思います。
また射手座のオーバー・ロードですから精神的に前向きな方でもあるのでしょう。
ノード軸が関わることで、家系の影響も強く感じられる出生図でもあります。実際、エンマの家系は長寿の方が多いそうです。


若い頃は病弱で、なんと90年間、1日も欠かさず2個の生卵・1個の目玉焼きやゆで卵を食べ続けました(110歳を過ぎた頃、医者に注意されて2個に減らしたそうです)。
チョコレートやビスケット、手作りのブランデーも少々。肉やパスタも大好きで野菜や果物は一切取らない「毎日同じものを食べる」食生活。非常に時間に正確で、規則正しい生活を送っていたということです。


4室の「習慣」は無意識なものですから、そのオートマティックな繰り返しが本人にとって「当然」で「自然」なものになります。
他人から見て変わっているように見えたり、偏っているように見えても、エンマにとって最も自然な状態で長年生活できたというのが長寿につながったと考えるのは私の浅慮でしょうか。

エンマ自身は「私の人生はあまり素晴らしいものではなかった。工場や食堂で働いて、それだけ。夫と別居して、独身生活を貫いてきたおかげで長生きできたのね」と長寿の秘訣について述べています。

エンマをきっかけに、世界のいわゆる"ご長寿"の方の出生図の検証を進めている最中なのですが、必ずしも4室に天体があったり、蟹座が強調されたりしているわけではないようです。またの機会に記事にできたらと思います。




前回の記事"ICについて"で書いたように、IC、もとい4室は閉じているようで、ある意味大きく開かれた場所でもあります。
私達個人がそれぞれの共有された環境に立脚し、個性を持って生きている根底には、4室という大きな基盤――目には見えないけれど、お互いに影響を及ぼし合う集団的な土壌があるからこそと言えます。
還っていく心の拠り所がどういったところなのか、4室の状態から考えてみることで、自分自身が立脚していけるフィールドも見えてくるのではないかと思います。

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