2017/11/14

火星-冥王星のアスペクトについて


先日、実母が入院したという報せを受けました。三半規管の乱れによる目まいや吐き気の症状によるものということだそうですが、大事には至らず、1週間ほどで退院できるとのことでホッとしました。

実父の話によると、2人で旅行に出掛けて山歩きなどして日曜日の夜に帰宅したそうなのですが、月曜日と水曜日は友達とプールに出掛けて10km泳ぎ、火曜日と木曜日は山仲間と25kmウォーキングをし、金曜日は体操教室に出掛けて4時間運動したそうで、週末になって不調を訴えたとのことでした。
「俺だって旅行から帰ってきたときは1週間身体を休めてコントロールするのに、まったく」とトライアスロン歴が長い、蠍座火星-蟹座天王星のトラインを持つ父はこぼしていましたが、実は母がこういったことで入院するのは初めてではないのです。



左図は母の出生図です。
出生時間不明のため出生図はソーラー・ハウスで設定していますが、月は乙女座、ほぼ新月の生まれです。

世代相である蟹座天王星と天秤座土星-海王星のスクエア(キロンが加わるとTスクエア)、ノー・アスペクトの獅子座金星、アイランドになっている乙女座太陽-(月)-水星以外、全てソフト・アスペクトのみで構成されている出生図です。

ソフト・アスペクトは概して方向転換しづらい面がありますから、トランジット等の刺激にも必然的に弱くなります。

母は10代後半から様々な病気や怪我で外科手術を繰り返しており、身体中に大きな手術痕が複数残っています。当然、その都度かなり消耗しているはずなのですが、いつもお医者様が驚かれるほど「回復が早く、強い」。

こういった事象は母の獅子座火星-冥王星のコンジャンクションに表れているように思います。母の個人天体で唯一、他天体へ角度のあるアスペクトがあるのは火星だけなのです。
火星はスポーツや怪我だけでなく、刃物――外科手術といった意味もあります。一般的にこのアスペクトを持たずとも、火星の象意は外部からやって来ることもあるのです。



火星-冥王星のアスペクトは比較的イメージしやすい組み合わせではありますが、やはり冥王星という天体が関わることで極端なニュアンスを帯びてきます。
この組み合わせに関しては、たとえソフト・アスペクトであっても劇的で荒々しく、ある種の圧迫感が出てくるようです。それは火星という天体の特性によるものであると思われます。

過去の記事("火星回帰について")にも書いたように、火星は自分自身を押し出していく意志であり、行動力であり、集中力である――つまり個人の「戦力」を表す天体です。
太陽系の最外郭にある冥王星は圧倒的かつ異質なものを持ち込みますから、火星という「個人の戦力」にアスペクトすると、強烈で爆発的なエネルギーを持つことになります。

ただ、冥王星とアスペクトする個人天体が概ねそうであるように、「極限状態」のスイッチが入ることで初めて目覚める力でもあるため、普段は茫洋として表に出てきづらい面があると言えます。
それは言い換えれば、「極限状態に向かおうとする火星を持つ」ということになるのです。



さて、火星-冥王星のコンジャンクションは、最も無尽蔵とも言える爆発力を持つアスペクトです。また、独特の冷たさがあることが否めないアスペクトでもあります。

コンジャンクションは特に自覚しづらいため、冒頭に書いた母の異常な運動量が示すように、自分自身の体力の上限が自覚できず、過信してしまいがちなところがあります。これは体力だけでなく、行動においても同じことが言えます。
"死と再生"という象意を持つ冥王星が関わると、常に「生と死の境界線を超えようとする」衝動が生まれるからです。火星によって、俗に言う「九死に一生を得るような」、"死と再生"を体験しようとするのです。


内円:私  外円:母
母はかつて、意に沿わないことがあると突然激高し、母自身の体力が尽き果てても暴力を振るい続けました。今はその衝動の方向がスポーツに向いているわけです。病気がちにも関わらず、行き過ぎた行動を取ることで"死と再生"を無意識に体験しようとしているのでしょう。

この獅子座火星-冥王星のコンジャンクションを頂点として、双子座木星-天秤座土星・海王星の小三角が形成されています。コンジャンクションはその天体同士の象意が直接持ち込まれるため、他のアスペクトの影響を受けやすくなる面・振り回されやすい面があります。

獅子座の火星-冥王星は強烈なアピール力を表します。
もともと獅子座というサイン(星座)は自分自身を押し出していくことに長けますが、やりたいことができていなかったり、うまくいかなかったりすると、全てを否定して落ち込んでしまうような面があります。

これは固定宮でもある獅子座というサインの極端さでもありますし、常に対象が「自分以外の人」に向くために、他者の反応や承認を渇望してしまうところがあるのです。

母の場合、土星-海王星・木星という力を借りて、「大それた理想」を自分にも人にも投影して、ままならない自分や相手に焦燥感を感じてしまうところがあるのでしょう。
そういった意味で、同じコンジャンクションを持っていても世代のサインによってそのニュアンスは大きく変わってくるのです。



さて、火星は公転周期が2年と速いため、火星-冥王星のアスペクトを持つ方はとてもたくさんいらっしゃいます。
ですから全てを検証できているわけではないのですが、例えばプロのスポーツ選手でこのアスペクトを持つ人は、(勿論たくさんいらっしゃるのですが)思ったより少ない印象を持っています。
何より「管理・メンテナンス」が必須であるプロスポーツ選手には、火星も勿論大事なのですが、どちらかと言うと他の天体が強調されていることが多いように思えるのです。

そういった意味で、火星-天王星のトラインやオポジションを持つプロスポーツ選手は、勿論スポーツの種類にもよるのですが、比較的長く現役を続けている印象があります。
火星-冥王星アスペクトは練習をし過ぎてしまう面もあるため、怪我に悩まされ選手生命を縮めてしまうことも多いのかもしれません。

敢えて言えば、外国のボクシング選手にこの火星-冥王星のタイトなコンジャンクションやスクエアが複数見られましたが、プライベートで暴力事件を起こしたり薬物の過剰摂取をしたりなど、自分や他人を傷付けてしまう方が多いようです。

ボクシングといった爆発力が求められる激しいスポーツをどんなにこなしていても、また、どんなに他のアスペクトが抑制的に思えても、火星-冥王星のアスペクトを持つことで、暴力といった形でなくとも、発作的な衝動が出てくる面は否めないのかもしれません。



1833/05/07 03:30 ドイツ ハンブルグ
左図はドイツの音楽家、ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms)の出生図です。

乙女座土星を頂点とした天王星・水星-木星のYOD。ロマン派と呼ばれる音楽が主流だった時代に、古典主義的な形式を基盤として民族音楽やロマン派の音楽を融合させた、革新的な作曲家です。

この土星は牡牛座太陽とトライン・射手座月とスクエア・蟹座火星とセクスタイル。質素倹約を常とし、目立つことを好まない、非常に謙虚で自己批判が強い、完璧主義者であったと言われています。

これだけ土星の抑制の効いた出生図を持つヨハネスですが、蟹座火星-ドラゴンヘッドと牡羊座冥王星(牡羊座水星-木星)のスクエアの持ち主でもあり、やはり突発的な衝動が出てきがちなところもあったようです。

彼は暴力こそ振るいませんでしたが、舌鋒鋭い皮肉屋でもあり、親しくない他人に対しては、たとえ自分の支持者であっても冷酷に振る舞うことが多くありました。愛弟子に対し、突然怒りの赴くまま完膚なきまでに罵倒するなど、激しい面もあったようです。

しかし彼の音楽にはある種の"厚み"があり、重低音を利用して豊かに響かせる手法を多く用いています。これは私見ですが、その重低音を多用し過ぎて、私は彼のピアノ曲にいつものしかかってくるような「圧迫感」を感じていたほどでした。

ブラームス(1853)
火星-冥王星のアスペクトは一般的にハードワーカ―が多く、怪我の多いアスペクト、暴力のアスペクトと言われています。
また、女性がこのアスペクトを持つと強引な男性が近付いてきやすいとも言われ、勿論そういったケースも実際にあるのですが、最近はご自身でその強いパワーを使っている女性も多いように思います。

ただ、スクエアというアスペクトはその時々によって噴出したりしなかったりする極端なパワーです。どうしても偏りが出てきてしまうため、その落差の激しさを経験することになりがちなのです。

ヨハネスの作品数が他の作曲家より比較的少ないのは、土星-天王星インコンジャクトによる「気に入らない作品は全て破棄する」性質に加え、火星-冥王星スクエアによる"意欲のムラ"にあるのかもしれません。彼の人生の中では、全く作曲に手をつけていない時期も多いのです。



1878/12/18 出生時間不明 ジョージア ゴリ
火星-冥王星オポジションになると、"再生と死"という極端なものを通して火星をコントロールしていこうとする性質を帯びると同時に、やはりその激しさも際立ってきます。

左図は旧ソビエト連邦の最高指導者であり、独裁者であったヨシフ・スターリン(Joseph Stalin)の出生図です。

射手座太陽-金星に魚座土星がスクエア。若い頃はその出自や容貌からコンプレックスの塊のような人物だったそうです。
天秤座の月から、本来は人当たりの良い人物であることが分かりますが、同時に他人の顔色や評価を気にしてセンシティブになりやすい面も持っていることが推察できます。


ヨシフ・スターリン
しかし出世するにつれてそのコンプレックスを覆い隠すように異常なほどの自己顕示欲、権力欲をむき出しにし、目的を達成するためにはどんな残酷な手段も厭いませんでした。

蠍座火星-牡牛座冥王星のオポジション。1930年代(牡羊座t天王星-蟹座t冥王星がスクエアを形成)の、いわゆる"大粛清"など、彼の冷酷な政策はどれも常軌を逸したものでした。

火星-冥王星のオポジションは、ターゲットや目的をはっきりと決めることで活性化されます。決めた終着点に向かうべく、周りをコントロールしようとするのです。
また、何を目的にするにせよ、境界線を超えるほど徹底して取り組んだ末に初めて活性化されるアスペクトでもあるので、どうしても極端さが目立ってきがちだとも言えます。
スターリンは自身の権力を安定させるため、政策に異議を唱える者を「人民の敵」として次々と排除したのです。

私も牡羊座火星(金星)-天秤座冥王星のオポジションを持ち、勿論暴力を振るったことは一度もありませんが、何をするにせよ、異常なほど目的を突き詰めることで生きている実感のようなものを得ている、そういった激しい部分があります。

そういった意味で、セクスタイル(例:サッカー選手のジネディーヌ・ジダン)やトライン(例:ロシアのプーチン大統領)を持つ方は火星の意志や行動が安定して発揮されやすいですが、やはり独特の威圧感を持ち、気性の激しさから逃れることができない組み合わせでもあるわけです。

火星-冥王星のアスペクトがある意味危険だと言われるのはこれまで書いてきた通りですが、建設的に使っていくには、やはり本人の自覚と方向づけが必要になってくるのでしょう。このアスペクトもまた、使い方によっては大きなことを成し遂げられるアスペクトだからです。

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