2017/12/03

アスペクトの無い天体について

アスペクトの無い天体、と一口に言っても、そう判断する基準は占い師の方によっても様々なのではないかと思います。
一般的には「メジャー・アスペクトの無い」天体、というわけですが、そもそもメジャー・アスペクトの種類自体をどう設定するのか、感受点(例:AscやMCなど)とのアスペクトをどう考慮するのか、またオーブをどれくらい取るのかなどの問題もあるからです。



こういった判断基準は、熟達した占い師の方それぞれの経験則によるものが大きいと思われるため、経験が浅い私はまだ模索している最中です。

ですから明らかにノー・アスペクトの天体で無い限り、判断がつきかねる位置にある天体については、後付けにはなってしまいますが、まず広めにオーブを取って(どの天体も7度ほど考慮しています)実際の事象と併せて検証していくことが多いです。

また、「メジャー・アスペクト」もごく一般的な0度・60度・90度・120度・180度で設定しています。
近年は150度もメジャー・アスペクトとして取り入れる傾向にあるようですが、150度は「後天的にしつけられて変形していく」アスペクトですから、強い衝動はあれど、大部分の方、特に若い方はその軋轢を"影"にしがちである面も否めません。
ですから今のところは、勿論その象意を加味した上で、150度のみ関わりのある天体はノー・アスペクトと判断しています。

AscやMC、ノード軸など感受点のみとの関わりもノー・アスペクトとして判断していますが、アングルやノード軸に重なっている場合、その感受点も併せて重視します。

またミューチュアル・レセプションとなっている場合も、その影響は加味しつつ、ノー・アスペクトとしています。同様に、小惑星も用いません。

さらにノー・アスペクトの天体がミッドポイントやハーモニック(HN)図(マイナー・アスペクト)でどのような天体が関わっているかで、どのような方向性・色を帯びてくるのかも重視しています。



まだ模索中である私の現在の判断基準をいろいろ披露したところであまりご参考にはならないと思うのですが、それは後にご紹介する出生図が上記の基準で判断されたものであるということをお伝えしたかったからです。
今回の記事は、様々なノー・アスペクト天体について2回に分けて書いていきたいと思います。



さて、メジャー・アスペクトの無い(以下ノー・アスペクト)天体は、ノエル・ティル(Noel Tyl)氏が提唱している心理占星術では「ペリグリン(peregrine)」という名称で定義されています。

「ペリグリン」は本来、古典の概念です。天体の品位(ディグニティ―)がドミサイル・エグザルテーション・トリプルシティー・ターム・フェイスといったいずれの領域にも属さない天体のことを指します。ラテン語で「境界線を超える」という意味があるそうです。
また、「ペリグリン」を語源として派生した"ピルグリム(pilgrims)"という言葉は「巡礼者・放浪者」という意味があります。

ティル氏がノー・アスペクトの天体を「放浪者・異邦人・相容れないもの」といった概念から発展させ、"境界を超えるほど"突出し、出生図を支配するほど強力に作用すると定義づけ、「ペリグリン」と名付けたその意図は、実際にノー・アスペクトの天体を含む出生図を検証することで理解することができます。



Aさん出生図
左図はAさん(男性)の出生図です(内容共に掲載許可を頂いております)。Aさんの奥様が鑑定にお越し下さいました。

Ascに重なる蟹座火星-土星のコンジャンクションは魚座太陽とトライン。土星が火星を常に制御するため、特に仕事面に関しては安定的に取り組める、真面目で有能な人物を作り上げます。


しかしその有能さ・正しさゆえに、不真面目に振る舞ったり、いい加減なことをしたりする他人に対して厳しい面も出てきがちです。

牡羊座金星-水星に天秤座海王星がオポジションを形成しており、本来は社交的で気持ちの優しい、愛とユーモアに溢れる方でもありますが、火星-土星が水星にスクエアを形成しているため、厳しいだけでなく、時に言葉が辛辣になりがちなのです。同時に「内弁慶」的な面も出てくるでしょう。


そして、3室の乙女座の月。10室の牡羊座金星にインコンジャクトを形成していますが、ノー・アスペクトとみなしています。

ノー・アスペクトの月は他者と感情をやり取りしづらい――つまり他者の感情に合わせづらい、「共感」という感情を持ちづらい面が出てきます。
それが結果的に「集団から浮き上がってしまう」、「空気が読めない」ニュアンスを帯びやすくなるようです。
逆に、その「浮いた」要素を無意識に補おうとして周りに過剰すぎるほど気を遣う方もいらっしゃいます。また、男性の場合は女性と縁遠い方もいらっしゃるようです。


Aさんの場合はそういった要素に加え、乙女座でかつ3室の月(Ascの支配星)であるということから、過剰なほどの好奇心、完璧主義、同時に細やかさと不安感、神経の傷みやすさが際立ってくる面が大きいと言えます。

HN5では牡牛座月-水星が乙女座火星-土星にスクエア。ミッドポイントでは土星/キロン=月、月/冥王星=海王星。深い思考と感情、豊かな創造力と不安定さ。痛烈な面、そして重いコンプレックスを伴うキャラクターとなりがちです。
同時に、牡羊座金星とのインコンジャクトはその激しさを助長するような要素を月にしつけるのです。


奥様によると、若い頃から「真っ直ぐ家に帰ってきたことがほとんど無い」。付き合いでお酒を飲むならまだしも、何十年も毎日毎日、会社帰りにいろいろな地域のいろいろなお店をのぞきながら帰ってくるそうで、退職された後もそれは変わらないそうです。
これは月だけでなく、見聞を広げたがる牡羊座水星・金星-天秤座海王星のオポジションにも表れているのでしょう。

また帰宅した後も、就寝するまで絶え間なく早口でおしゃべりをしながら家の中をひたすら動き回って掃除をされるそうです。その潔癖さは会社で"敵と味方"をはっきり分けるような対人関係を築きがちであったというところにも表れているように思います。



内円から:Aさん出生図 / CPS / t2015年末
左図は2015年末、Aさんが「20分ほどで終わる」目の手術をしたときの3重円です。

日帰りで充分、入院の必要は無いとお医者様がおっしゃったにも関わらず、Aさんが頼み込んで3日間入院をしました。
ベッドの柵に少しでもホコリがたまっていたり、看護師さんの対応が少しでもなおざりだと感じると長い抗議書を奥様に口述筆記させ、病院長のところへ持っていくよう促しました。

無事手術が終わって退院した後も、お医者様が普通の生活をしても問題無い、とおっしゃっているのにも関わらず「目をいたわるために」雨戸やカーテンを閉めて一切外出しなくなりました。

目に負担を掛けないよう、新聞やテレビも見ず、薄暗い部屋の中で早口でおしゃべりしながらひたすら家を掃除し続ける生活。優しい面は変わりませんが、感情の起伏が以前に増して激しくなりました。
元同僚や友人からの電話にも出ず、居留守を使うようになり、家族以外の全ての人間関係を断ち切りました。問題なのは、同じことを奥様にも求めるようになってしまったという点です。

Decにt冥王星が重なり、t天王星を頂点としてnAsc-火星-土星とTスクエアを形成。SAドラゴン・ヘッドがn月に重なり、t海王星とオポジション。SA火星-土星にn太陽がオポジション、t木星-ノード軸が重なっています。tノード軸の関わりは環境の変わり目でもあります。

奥様は「なぜ夫が急にこんな風になってしまったのか」ということでお越し下さったわけなのですが、手術の内容というより、手術自体がトリガーとなってAさんのもともと"突出している"神経過敏な月がさらに激化し、生活自体に大きな影響が及んだケースであると考えられるのではないかと思います。

Aさんの出生図において「月」は奥様も示しますから、今回のことは奥様にとっても大きな変わり目でもあります。シナストリでは忍耐強くご主人様を支え、励ましていらっしゃる様子が浮かぶようでした。
ご夫婦は未だ渦中にいらっしゃいますが、今後Aさんを説得しつつ、良いタイミングをはかって奥様主導で行動していかれるとのこと、良い結果が得られるよう心から祈らずにはいられませんでした。



さて占星家によっては、ノー・アスペクトの天体はサイン(星座)の概念を逸脱して、その天体そのものの特徴と、その天体があるハウスが"突出して"強調されてくると考える方もいらっしゃるようです。

ただAさんのケースなど鑑みると、ハウスだけでなくやはりサインも強調されているように思います。もちろん出生図全体の情報を基盤とする前提を踏まえても、です。
ノー・アスペクトの天体は、学習機能が無く発展性もありませんが、その分純粋な形で過剰に働き続け、良くも悪くも色褪せることがないのです。



例えば、私達生徒に占星術を教えて下さっているリマーナすず先生は、9室、牡牛座15度にノー・アスペクトの水星をお持ちです。

9室の象意である、高度で抽象的な物事を理解する深い知性が牡牛座15度特有の"溜め込む"要素と共に、過剰に強調されてくることになります。
先生の毎月の講座に通い始めてもうすぐ4年になりますが、先生の頭の中にある知識量とデータ量は私達生徒にはとてもとても想像が及ばないほど膨大なのです。
そういった水星ですから、惜しみなく知識を授けて下さる先生の講座は、情報量が大変に多いのです。
ですから最初の2年ほど、物覚えが悪い私の頭の中は、多すぎる断片的な情報が常に飛び交ってつながらず混沌の様相を呈していたのですが(笑)、ようやくほんの少しだけですが、出生図などを通して個人に肉薄するための「全てがつながっている」感覚を得つつあるような気がしています。

ノー・アスペクトの水星は感情や気分のコンディションと連動しない知性です。リマーナすず先生がお忙しい中、今でも膨大な知見を常にアップデートし続けていらっしゃるのは、他の天体に表れているたゆまぬ努力・求道精神と、ノー・アスペクトの水星が"突出して"いるゆえであると思われます。



1979/05/09 13:07 北九州市
私自身は1室にノー・アスペクトの乙女座土星を持ちます。

Ascとゆるくコンジャンクションし、さらに逆行しています。そもそもこういった位置に土星を持つ人は両親との問題を抱えることが多く、抑圧された環境で育ったことを要因とした「自己否定的」な面が過剰に出てきがちです。

それは全ての面において「〇〇であるべきなのに自分は及びもつかない」という内向きで強迫観念的な思考を生み出しがちですから、自分の感覚に固執することにつながり、閉鎖性を生み出します。

松村潔先生のご著書「完全マスター 西洋占星術」では「土星のノー・アスペクトは空中楼閣的なルールをつくる」と書かれています。つまり実体の無い、"空中楼閣的"な「〇〇であるべき」といった固定概念から逃れにくいという面が"突出して"出てきがちであるというわけです。それは逆に言えば、理想の高さを示していると言えるでしょう。

私の場合、乙女座土星ですから微に入り細に入るようなニュアンスを帯びてきますし、土星-天王星についての記事でも書いたようにこの土星はミッドポイントで土星/天王星=月となり、HN7で土星-海王星のコンジャンクションとなりますから、カタブツでミニマム志向であると同時に、犠牲的志向を持ち、型破りでもあり、清濁併せ呑む土星であるとも言えるわけです。



ノー・アスペクトの天体は新陳代謝する要素が無い分、個人のキャラクターとして全面に出てきやすい面が大きいと思っています。
勿論、常に全体を見ることが最も重要ではあるのですが、その中でも、まさに孤立した"ピルグリム(pilgrims)"のようなノー・アスペクトの天体を認識することは、個人のキャラクターに迫っていくときには見逃せない、重要なポイントのひとつになるのではないでしょうか。

オランダの占星家、カレン・ハメーカー氏(Karen Hamaker-Zondag)が2000年に出版した"The Yod Book"には、"a complete discussion of unaspected planets"と題し、ノー・アスペクトの天体についても、ハメーカー氏の経験則による考察が詳細に書かれています。
次回の記事ではその考察のご紹介、ノー・アスペクトの天体を方向づけるシナストリ、トランスサタニアンのノー・アスペクトについて考えてみたいと思います。

4 件のコメント:

  1. はじめまして。
    最近桐吉先生のブログを読み始めた者です。
    趣味で西洋占星術について勉強中で、
    考察の過程を細やかに開示してくださる先生のブログからは
    たくさん学ばせていただいています。

    私はノーアスペクト月(蠍座13度@9室)を持っています。
    太陽は天秤座なので場の空気を重んじるタチで、
    「常に冷静で客観的な私」を自負しているのですが、
    同時に「涙を全く制御できない」ことに我ながら困惑していました。
    職場など公の場でも些細なきっかけで涙が溢れて止まらず、
    周囲をギョッとさせることもしばしば。。。
    自分で自分の感情がよく分からない傾向もあり、
    昔からこの「突発的涙」を持て余していたのですが、
    今回の「ノーアスペクトの月」の解釈で腑に落ちました。

    ホロスコープを読むようになってから、
    自分の中の矛盾する性質が星の配置に関わることに気付き、
    「自分で自分が分からない」という不安が
    少しずつ解きほぐされています。
    (他の天体にも矛盾する配置が多いのです)

    特に桐吉先生がシェアしてくださる星の言葉には
    とても癒され、励まされています。
    心より感謝申し上げます。

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    1. はじめまして。コメントをありがとうございます。

      もともと蠍座の月は、人との深く食い込んでいくような濃い関係性・濃い感情の中で充足を見出していく面がありますよね。

      その月が9室に在していることもあって、もともと感情が人一倍増幅されやすい素地をお持ちの上に、ノー・アスペクトの月――

      他の天体にも矛盾する配置が多いとのことで、出生図全体を拝見しなければ何とも申し上げられないのですが、外部からの何らかの刺激によるその「高ぶりやすさ」が強調され、「突発的な涙」といった形で表出してきている可能性があるかもしれませんね。

      私も、占星術を勉強することによって、自分の未知なる部分や不安な部分を「前進する力」に変えていきたいなと思っています。
      このブログが少しでもお役に立っているのでしたら、とっても嬉しいです。
      貴重なお話しをシェアして下さり、こちらこそ、本当にありがとうございました。

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  2. お返事ありがとうございます。
    私のケースが少しでもご参考になれば幸いです。

    ちなみにノーアスペクトの月の象意の通りに
    「精神不安定な母親」もおります^^;

    母親との関係には幼少より随分悩まされましたが、
    「星の配置は魂の目的のために自らが選んだもの」と気付いてからは、
    こんなハードな役を引き受けてくれた母の魂の深い深い愛情に
    感謝が募るばかりです。

    当方北九在住もあって一方的に先生に御縁を感じ、
    長々とコメントしてしまいました・・・
    お忙しい事と存じますのでお返事は不要です。
    これからも楽しみに拝読し「前進する力」に変えていきたいです。
    季節の変わり目・・・どうぞ心身ご自愛くださいませ。

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    1. moonさん、ご返信ありがとうございます。

      蠍座のノー・アスペクトの月は確かにお母様の状態、お母様とのご関係にも影を落とす一面があると推察できますね。
      ご自身ではままならなかった状況を「星の配置は魂の目的のために自らが選んだもの」と感謝できる境地に至るまでは、とても大きな葛藤がおありになったことと思います。

      私は生まれてすぐ他県に引っ越したので、北九州へは時々祖父母に会いに行く程度でした。
      アストロ・マップではAsc-土星ラインが通っている場所でもありますが、様々な思い出がたくさんある土地で、今も懐かしく感じます。
      こうしてmoonさんとご縁がつながったのも土星のおかげなのかもしれません(*^o^*)

      温かいコメントを本当にありがとうございました。moonさんもどうぞお身体ご自愛下さいね。

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