2017/12/27

アスペクトの無い天体について②


前回の記事の続きです。
オランダの心理学者・占星家でもあるカレン・ハメーカー氏(Karen Hamaker-Zondag)が2000年に出版した"The Yod Book"には、"a complete discussion of unaspected planets"と題し、ノー・アスペクトの天体についても、ハメーカー氏の経験則による考察が詳細に書かれています。


大まかなところでは前回の記事と同様のことが書かれているわけですが、ハメーカー氏の独自の見解として、

  • ノー・アスペクトの天体を持つ人はグレー・ゾーンが存在せず、all-or-nothing(全か無か)といった考え方をしがちである
  • 心理学ではその思考パターンを"スプリッティング(splitting)"と呼ぶが、それは対人関係を構築していく上での不安定さを生み出す
  • その不安定さによって"自己防衛"が過剰化し、精神的な波が激しくなったり、自分の存在・主張の正当性を過度に強調したりしがちである

といったことが挙げられています。
中でも、"子供のノー・アスペクト天体"とどう向き合うべきかということに多く紙面が割かれ、様々なケースと共に「両親は子供のノー・アスペクトの天体に対し、管理、もしくは調整していかなければならない事態に直面することになる」と書かれています。

今回の記事は上記を踏まえた上で、ノー・アスペクトの天体がどういった「問題」をもたらす可能性があるのか、3件のケースを見ながら考えていきたいと思います(全て内容共に掲載許可を頂いております)。



Bちゃん出生図
左図はBちゃん(女の子)の出生図です。

Bちゃんは学校で、大切にしていたキャラクターのメモ帳やシールを友達に全てあげてしまいます。
授業で使う文房具や筆箱まであげてしまったとき、お母様はいじめを疑い、学校まで相談に行かれました。

ところが、Bちゃんは学校で信頼も厚く、むしろ人気者なのだとのこと。ただ「この鉛筆かわいいね」という友達の一言で、全て差し出してしまうのだそうです。
友達が投げたボールが校舎の屋根に引っかかってしまったときも、Bちゃんが危険を省みず取りにいこうとしたそうで、先生が慌てて止めに入ったとのことでした。

8室水瓶座海王星がノー・アスペクト。
海王星や冥王星という天体はあまりに遠く、個人の意志でどうこうできる天体ではありません。
そのため一般的には、これらが「新陳代謝の無い」ノー・アスペクトである場合、日常生活に影響を及ぼすことはあまり無いとされています。つまり、個人天体のように目立つ作用が無いとされているわけです。

ただ、リマーナすず先生は「子供のホロスコープを読む際、海王星が在するハウスは弱い分野を示すため、その分野に関する周囲のサポートが必要である」とおっしゃっています。
8室の海王星は自他の境界が曖昧になりがちです。Bちゃんが身を投げ出すように友達に親切にしてしまうのは、人の機微に敏感で、想念に同調しすぎてしまうからなのかもしれません。


一方で、Bちゃんは家でお母様と離れるのを極端に嫌がります。
スーパーへちょっとした買い物で家を空けるのは勿論、数分庭に出て洗濯物を取り込むときですらお母様を探してしまうそうです。
何かにつけてお母様に抱きついて「離れないで」と泣くBちゃんの、家と学校で見せる顔との落差に、ご両親がカウンセリングに連れて行かれたこともあるそうです。

金星-土星のスクエアを持つと真面目なキャラクターとなりますが、愛情を渇望しがちな面が出てきがちです。たとえ保護者がどれほど物心両面で愛情を注いでいたとしてもです。ですから、このアスペクトを持つ人に対しては、どんなときでも変わらない愛情を示し続けることが重要です。

また、4室の蠍座の月はAscの支配星。お母様に対し、お互いが一体化してしまうほどの愛情を常に確信したがっているのでしょう。同時に、それは学校のお友達に対しても、形を変えて表出してきているのかもしれません。

そういった素地があっての8室のノー・アスペクトの海王星。
ノー・アスペクトの海王星が個人に大きく作用するかどうかは、まだ私の検証数が少なく断言することができません。
しかしBちゃんの場合は他天体と相まって、自他の境界を極端に無くしがちなノー・アスペクトの海王星が「弱さ」となって大きな影響を及ぼしていると考えることができます。
ご両親は今でもその「弱さ」と向き合うべく試行錯誤していらっしゃるのです。



また、出生図のノー・アスペクトの天体にどなたかの天体が関わったり、トランジット等の天体が関わったりするときも重要です。


Cさん出生図
左図はCさん(女性)の出生図です。

山羊座太陽-水星が獅子座木星にAsc-Dec上でオポジション。
Cさんは専業主婦。長年、厳格な義両親と同居して子育てに奮闘されてきました。

1室にはノー・アスペクトの水瓶座金星。容貌だけでなく、気持ちもとてもお若い方です。
獅子座1度の木星の影響で言葉やリアクションがやや大げさになりがちなところも、その瑞々しい魅力を後押ししているような感があります。

しかし、キロン-月-土星に天王星-冥王星がオポジションを形成。
その大らかさと明るさの影には強い痛みと大きなストレスを抱えていらっしゃるのです。
月を含む2室-8室のオポジションは、周りの意向に振り回されがちであることを示しています。


ノー・アスペクトの金星は、容貌や気持ちが若く、思春期の頃のような華やいだ感情が色褪せることなく続きます。ですから特に女性は歳を重ねるほど、その実年齢と若すぎる感覚のギャップに眉をひそめられることもありがちです。

男性の場合、自分の楽しみ(趣味・嗜好など)を追求していらっしゃる方が多いように思います。女性とのご縁が全く無いというケースがあるようですが、逆に不特定多数の方と関係を持っているという方もいらっしゃいました。


Cさんの場合、"突出して"出てきているノー・アスペクトの金星と、アングルに重なる太陽-水星-木星の影響が強いために「悩み無さそうでいいね~」と誤解されることが多いそうです。
月が土星や冥王星と関わることで際限の無い忍耐力があるため「苦しみを抱えている本当の自分」を簡単には表に出さない面があるのです。

近年では、金星/土星のミッドポイント(HN8)にt土星が重なった時から重い更年期障害の症状が出始め、心身共に辛い時期を過ごしていらっしゃいます。

しかしその一方で、今でも大好きというご主人様とのプリクラを見せて下さったり、趣味のゆるキャラグッズ集めのお話しを聞かせて下さったりもするわけです。ノー・アスペクトの金星と重い月の落差に大きな葛藤を持たざるを得ない面が出てきがちなのです。


Cさんの次女出生図

右図はCさんのお嬢様(以下:次女)の出生図です。

8室の双子座21度の月がノー・アスペクト。フットワークが軽く、知的活動がぎりぎりまで発揮される度数ですが、8室のナチュラル・サインが蠍座であるために思考や感情に没入しがちな面も出てきます。

また牡牛座太陽-射手座冥王星のオポジションや、牡牛座水星・火星がAscにアスペクトしていることから、思慮深い雰囲気を持ちながらも、月のノー・アスペクト特有の「浮き上がってしまう」面が"突出して"出てきがちです。

Cさんは次女が幼い頃から「もっと謙虚になって欲しくて、叱りすぎてしまう」そうですが、次女もCさんに対して「恥ずかしいからチャラチャラしないで」と攻撃することが多く、特に思春期の頃から衝突が絶えません。


内円:Cさん 外円:次女
親子のシナストリ図です。Cさんが次女を出産した瞬間の図でもあります。
次女のノー・アスペクトの月を頂点として、Cさんのキロン-月-土星・冥王星-天王星がTスクエアを形成。
Cさんのノー・アスペクトの金星が次女の火星とスクエア。

次女のノー・アスペクトの月をCさんが強くコントロールしようとしているのと同時に、Cさんのノー・アスペクトの金星に次女の火星が横やりを入れています。

リリス(この図に限り、月の交点はミーンで見ています)の配置からも、お互いに"影"の部分を見せつけられている「鏡」のような面がありつつ、相互に影響しあっている――お互いの色を帯びていることが分かります。

スクエアという相性は確かに反発しがちな面がありますが、新しい視点・感覚をもたらしてくれる重要な相性でもあります。しかしこの場合、次女がCさんの厳しさに対して反発したり、圧迫を感じてしまったりすることは否めないでしょう。
それでも、この親子の太陽同士はトラインを形成し、お互いの木星が保護し合っています。お互いの真意が伝わる日がいつかきっと来るのではないかと思っています。



お子様の出生図を拝見させて頂くとき、私はまだ経験数が少ないということもあって、かなり慎重に準備をします。年齢にもよりますが、まだ成長段階であることから統合しきれていない面や、幼い時ほどAscや月の状態が色濃く出てくる面が大きいからです。

ですからハメーカー氏の指摘通り、ノー・アスペクトの天体は、周囲が管理・調整していかなければならない一面、また良い資質として方向づけるべき可能性としての一面を教えてくれる重要な指標のひとつになり得ると考えています。

そういった意味では、大人の出生図であっても、ノー・アスペクトの天体によっては、幼い頃から抱えている様々な葛藤を未だ内包していると考えることもできます。





Dさん出生図
Dさん(男性)の出生図です。
1室太陽-金星のコンジャンクションはノー・アスペクト(アイランド)ぎみ。10室蠍座天王星がノー・アスペクトです。

お父様は海外でお仕事をされており、家にはほとんど戻りません。
お母様は精神的に波があり、手首を切ることもしばしば。その都度近くに住む母方のお祖母様に知らせて救急車を呼んでもらうのは、一人息子のDさんの役目でした。

その後、Dさんが高校生のときお母様が妊娠。お母様の消耗が激しかったため、赤ちゃんはお祖母様とDさんの手によって育てられました。

ICに重なる牡牛座月-キロンは、天秤座冥王星と蠍座天王星それぞれからクインデシル(クインデチレ)(165度)。
過去の記事"ICについて"でも書いたように、IC上の天体は家系の縛りのようなものを感じさせる出来事が起こりやすいケースが見られます。
強迫観念を伴う、身動きが取りづらい、逃げることができないニュアンスさえ帯びる配置です。
また、出生図の火星・木星・土星が逆行しており、思考が内に向かいがちです。


一方で、Dさんは昔から周りの人に「冷たい」と言われ、人間関係が突然破たんしてしまうことが多いそうです。
もともと、別れてしまった恋人と復縁できるかということで鑑定にお越し下さったわけなのですが、Dさんとしては、お母様にそうしているように、周りの人にもいつも自分の限界を超えて親切にしているつもりなのに、最終的にいつも友人や恋人を激怒させてしまって向こうから関係を切られてしまうのだそうです。
これは上記の2つのクインデシルも大いに関係があると推察できますが、天王星のノー・アスペクトの象意でもあります。


天王星のノー・アスペクトは他人との関係の作り方が安定しづらい面があります。仲良くしていたかと思えば、ふと音信不通になってしまう。そのサイクルを繰り返してしまいがちです。天王星はそもそも「切り離す・枠から飛び出そうとする」天体であるからです。


縛られている月と、切り離そうとする天王星。
Dさんにとって、家族――お父様が不在の中、お母様から目を離すことができない状況は大きな葛藤があることでしょう。
Dさんご自身も「いつもどこか遠くに行きたいと思っていますし、家でひとりの時間が持てたらどんなに楽かと考えてしまいます」とおっしゃっていました。
木星を頂点とした月-土星の小三角は本来、Dさんが真面目で優しい方であることを表します。
しかしノー・アスペクトの天体はどうしても強調されてきますから、縛りの無い友人や恋人に対しては余計にそういった点が表出してきやすいのかもしれません。



「ノー・アスペクトの天体は、出生図を支配するほど強調される」というのがセオリーです。
しかしそのノー・アスペクトの天体と他天体の状態によっては、その落差が激しく、その葛藤が幼い頃からの人格形成に大きな影響を及ぼすのではないかと私は考えています。

しかし同時に、ノー・アスペクトの天体に注目するということは、人格形成の途中で解決できなかった問題に目を向け、特別な資質として良い方向へ開花させるにはどうすれば良いか、模索する指標のひとつになり得るとも思っています。


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早くも冬至が過ぎ、新しい年を迎えようとしていますね。
ブログをご覧下さった方、メールを下さった方、鑑定でお会いできたお客様……私にとって2017年は新しいご縁をたくさん頂けた1年となりました。
心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
どうぞお身体にお気を付けて、良いお年をお迎え下さいませ。

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