2018/02/16

星々の意匠3:マイケル・ジャクソン(歌手) ~「イメージ」の光と影


このブログをご覧下さっている皆様は、どんな音楽がお好きですか。

個人の趣味嗜好は一般的に、金星の状態を考慮するのが定石と言われていますが、実際はAscやIC、5室カスプの状態など、事象としては個々人によって様々だと感じています。


ちなみに私の出生図のICは射手座で、幼い頃から音楽の好みとしては洋楽一辺倒でした。

金星は牡羊座金星。牡羊座火星とコンジャンクションを形成しており、割とアップ・テンポのもの――ディスコ、ソウル、ファンクといったジャンルが好みですが、5室カスプが山羊座(支配星:土星)なのもあって、プレスリーやナット・キング・コール、レイ・チャールズなど、ジャンルは違えどクラシックなものも大好きです。

一方で、乙女座Ascに牡羊座火星-水星のコンジャンクションがトラインを形成していることから、rhyming(ライミング)――ヒップ・ホップの一要素である、いわゆる"ラップ"という独特の文化にも興味があってよく聴いています。

また実際に、個々人と特定のアーティストとの相性によって趣味嗜好が影響されるケースも多いと感じています。
アーティストとファンという関係であるため当然直接の面識は無いわけですが、何故かファン側が強烈に惹かれたりする場合、シナストリーやミッドポイント、ハーモニックでの関わりが顕著であることが多いように思います。



こういったたくさんの大好きなアーティストの中で、私にとって特別なひとりが、"King of Pop"、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)です。
世界中の占星家によって研究し尽されているマイケルの出生図ですが、私も挑戦してみたいと思います。

私がマイケルを知った小学生当時は、アルバム"Bad"が発売された頃。
当時、マイケルはマドンナと並んで大変な人気を誇っていましたが、私が衝撃を受け、世界の広さを知ったのは、まだ幼いマイケルがJackson5のリード・ボーカルとして歌い、踊る昔の映像をテレビで見たときでした。


1958/08/29 19:33 インディアナ州 ゲイリー
左図はマイケルの出生図です。データはアストロ・データバンクより転載させて頂いております。

獅子座カスプの6室に天体がオーバー・ロード。支配星の乙女座7度の太陽は6室から7室にあり、私は両方の影響があると考えて検討します。

6室の支配星が6室に在している方は、完璧主義とも言える細やかさを持ちます。
分析力にも長けますが、重箱の隅をつつくようなその細やかさが強迫観念のようなものを生み出しがちな面も出てくるでしょう。

同時に、6室の支配星が7室に流れている場合は、他人に対してその細やかさが発揮される「気遣いのできる」キャラクターとなります。
きちんとしたマナーがあり、独自の美意識を持ちます。また、相手をよく観察し、相手に合わせて気を遣ってしまうため、心身共に疲れてしまうことも多かったのではないでしょうか。

マイケルの場合、もともと6室にこれだけたくさんの天体があり、太陽-冥王星のコンジャンクションが乙女座の初期度数にあるということもあって、そういった神経の細やかさが何重にも繰り返し強調されてくる配置であると言えます。


"Jackson5"時代
太陽の度数、乙女座7度は音楽やダンスにも関連があるとされていますが、「環境や人への依存」といった意味合いも含まれます。
持ちつ持たれつといった"情"を交えた関係性にある人や物から、テリトリーを超えて侵入し、侵入される度数でもありますから、どうしても先が見えづらく曖昧で不安定になりがちです。

これはAscの支配星:海王星が、8室でMCの支配星:木星とコンジャンクションを形成し、ドラゴン・ヘッドが近くにあることにも重複した特徴があると言えます。
自他の境界が曖昧になりがちであるため、何につけても、公私共に、他人に土足で踏み込まれやすい傾向があるのです。

またこの流れは、マイケルが良くも悪くも過度の理想主義者であったことも示しています。同時に、浮世離れした雰囲気を纏いがちです。


"Rock with You"の衣装で
太陽とオポジションを形成する1室の月は魚座15度。
魚座の月を持つ人は、勿論そのアスペクトにもよりますが、基本的に共感能力が高く、心優しく同情的です。他人を冷たく突き放すといったことがしづらい傾向があります。

この度数は乙女座の影響を多分に受ける度数でもありますが、得てして周りの状況を観察しながら自身の行動を模索しようとする傾向も持ちます。

MCと重なる土星とはスクエアを形成し(土星/Asc=月)、非常に抑制的な人物であることが分かりますし、同時に幼少期の"影"を推察することができます。

実際、父親からのすさまじい暴力による支配的な教育、父親と兄達が何度も引き起こした性的なトラブルは、マイケルの成長過程に大きな"影"を落としたのです。

そういった意味で、この配置は周りの様々な思惑を吸収した上で行動しがちである傾向があるため、やはり不安定さが出てくることは否めないでしょう。周りの人間によって良くも悪くも変わっていくからです。
しかし、この配置を持つ方の多くがそうであるように、大勢の人達に支持され、愛される人気運があります。



1995/01/25 12:00 サンタバーバラ
さて、ここまでご覧下さった方の中には、いわゆる「ダーティーなゴシップに常にまみれていた、エキセントリックなマイケル・ジャクソン像」とのイメージの差を感じられた方もいらっしゃるのではないかと思います。

マイケルほど、現代社会の様々な問題――小児性愛、幼児虐待、薬物中毒、相次ぐ訴訟・裁判、行き過ぎた報道、整形、人種差別など――を一身に背負った人はいないからです。

特に1990年以降の彼に関する報道は、苛烈を極めました。

上記は突如、子供への性的虐待疑惑が持ち上がった末、和解した日の5重円です。時間は仮に12:00としてあります。内円から、出生図/太陽回帰図/CPS/HN36/トランジットとなります。

射手座に入ったばかりのt冥王星がn太陽-冥王星とスクエア。t土星がAsc-月-太陽(冥王星)に重なり、n土星-MCを頂点としてTスクエア。
太陽/月のミッドポイント(HN8)にt海王星-天王星、SA土星-MCが重なり、出生図のAsc・MCそれぞれの支配星である木星-海王星にスクエア。
太陽回帰図ではAscにドラゴン・ヘッド-冥王星がコンジャンクション。
HN36では双子座火星-冥王星が射手座金星にオポジション、出生図のほぼ子午線上に重なっています。

マイケルも、また当の少年ですらも、虐待を完全に否定しました。にも関わらず両親が訴え出たのです。
前述した"土足で踏み荒らされやすい"状況が勢を得ている状況であると同時に、巨額の金銭を支払うことでひとまず和解という形を取ったものの、今後簡単には解決しにくいであろう状況が推察されます。

"Thriller"の衣装で
また、疑惑が出たのは、36歳――火星の年齢域に入ったばかりの頃でした。
マイケルの火星は牡牛座。ゆっくりですが非常に粘り強く、確実に成果をつかみます。
この火星は牡羊座2室~牡牛座3室に在していますから、リスクを冒しても確実に金銭を手にできたり、日々のたゆまぬ努力で揺るぎない技術を得たり、といった傾向があります。

この火星を頂点として、水瓶座キロン-獅子座金星・天王星がTスクエアを形成。
これらは革新的な個性・芸術性を強く押し出していく配置であると同時に、後年マイケルが熱心に取り組んでいたチャリティーや奉仕といったことにも関連します。非現実的とも言える理想を掲げつつも、弱い者に奉仕しようとするのです。

一方個人的には、恋愛や自身の男性性に関しての”コンプレックス”や"自信の無さ"といった傾向が出てきがちです。固定宮のTスクエアですから、自身の考え・表現に固執しがちなところがありますが、非常に慎重な面もあることが推察されます。


"Smooth Criminal"での
"Anti-gravity lean"(1988)
年齢域が示す天体は、人生の大まかな流れを示してくれます。マイケルにとっての火星期は、大変な痛みを伴う激動の時期でした。

尋常性白斑という病気によって肌の色が白くなり、撮影中の大怪我により鼻を整形した経緯も考慮されず、奇異な外見や奇行が取り沙汰されました。
また、膨大な数の訴訟を次々と起こされてしまったことで、どこまでもマスコミに追いかけられたのです。

結局、2005年6月、全ての裁判の起訴事実について無罪の判決が下りました。
木星の年齢域に入ったばかりの46歳、Ascにt天王星、MCにt冥王星が重なっていた頃でしたが、心無い中傷はそれからも長く続きます。このトランジットは「社会から蹴り出されてしまうような状況」が起こりやすいからです。休養期間は長く続きました。
そして、満身創痍の状態でやっと活動を再開した矢先の2009年6月、薬物の過剰投与によって急死してしまったのです。



4ヶ月後、死の直前まで行われていた"This Is It"ツアー、そのリハーサルの舞台裏をおさめたドキュメンタリーが放映されました。

ギタリスト、オリアンティに
アドバイスするマイケル
リハーサルでもマイケルは一切妥協しません。
非常に細かいところにまで神経を行き届かせ、完璧なステージにしようとしています。

「全ては見に来てくれるお客さんに心から楽しんでもらうために、非日常のエンターテイメントを届けたい」と繰り返しダンサー達やスタッフ達に話し、分かりやすい例え話などをたくさん使い、言葉を尽くしてその世界観を説明しようとしています。

マイケルからレベルが高すぎる指示を受けたスタッフが固まっていると、「怒っているわけじゃないんだ、これは愛なんだ」とそのスタッフの良かったところを挙げて褒めたりしながらも、一生懸命理解してもらおうとしているのです。

彼ほどのスーパー・スターならば、単に指示を出したり命令したりすれば良さそうなものですが、その姿は常に、非常に腰が低く謙虚で、奇異な言動や行動どころか、わがままなところも尊大なところも全く見受けられません。
おまけに、バックバンド演奏者のソロパートまで作って、ひとりひとりに見せ場を作る気遣いも見せているのです。

このドキュメンタリーによって、すでに亡くなってしまったにも関わらず、「新しいマイケル・ジャクソン像」として世界中で大きな反響がありました。
「休養期間中に生まれ変わっていたマイケル」と報道した雑誌さえあったそうです。
その言葉の選び方自体はともかく、つまりは、亡くなってはじめて、彼のこれまでの功績が賞賛され、良い面がクローズ・アップされたということになります。

しかし、こういったマイケルの姿は本当に「新しい」「生まれ変わった」姿だったのでしょうか。そもそもはじめから、こういった人物だったのではないでしょうか。



"Black or White"より
"Panther Scene"
心理学では、人間は自分以外の他人に対して常に偏った視点を持ちがちであるという研究結果があり、これを「ネガティビティ・バイアス(negativity bias)」と呼ぶそうです。

人間は太古の昔から、ポジティブな情報よりも、ネガティブな情報が自分の身の危険に直結するという危機感、ネガティブな情報の方が価値があるという観点から、無意識下で視点にバイアス(偏り)をかけてしまう性質があるそうです。
ネガティブな物事・情報に対して、より素早く、強く、持続的に反応する性質を持つというのです。

つまり私達は、マイケルのようなスターだけでなく、周りの友達、家族、同僚など自分以外の人間の欠点を探してしまう基本性質があるということなのだそうです。

それはごく一面的な情報をとらえているのに過ぎないのですが、特に週刊誌などはあえてネガティブな情報を載せて、注目を浴びやすくしている面もあるそうです。
勿論、悪いことは悪い、と代弁してくれるのもマスメディアの重要な役割のひとつであるとは思うのですが、一挙手一投足を取り上げて欠点をあげつらうような、あまりに行き過ぎるネガティブな報道が多いのも事実です。

しかしあるとき、行き過ぎた"ネガティビティ・バイアス"の波が終わりを告げるときが来ます。その人を永遠に失ったときです。
また、失ってはじめて、その人がどんなに重要な存在であったか気付いたときです。

そうなると、今度は「ポジティビティ・バイアス(positivity bias)」がかかるそうです。
相手の良いところばかりがクローズ・アップされ、生前の功績や人柄が賞賛されはじめます。
マイケルが亡くなった当時の場合も、生前非難されていた激しさと同じくらい、その賞賛が大きなムーブメントを生んだのはご存知の通りでしょう。
一面的なイメージというものが、いかに光にも影にもなり得るのかがよく分かるケースだと思います。



歳を経るごとに、天真爛漫で元気な少年だった幼い頃の面影が消えていったマイケル・ジャクソン。
それでも、私が彼を思い出すときにいつも浮かぶのは、1979年、クインシー・ジョーンズと共に、初めてマイケルが手掛けた"Off The Wall"というソロ・アルバムを出した頃の21歳のマイケルです。

"Rock with You"より
中でも"Rock with You"という曲のミュージック・ビデオは、ソロとしての自由を謳歌しているようで、一番幸せそうに見えます。輝くような笑顔が印象的な、大好きな曲のひとつです。

他にもアルバム名と同じ"Off The Wall"や、後の"P.Y.T.(Pretty Young Thing)"なども私が大好きな曲なのですが、この時期特有のディスコ、ソウル、ファンクの色が強い曲は、不世出のエンターテイナー、マイケルのルーツや基盤を感じさせてくれる曲が多いように思います。

同時に、マイケルははじめから歌や踊りが大好きな、優しい人であったのだなと思い出させてくれるのです。



私を含め、欠点が無い人間はいません。しかし、バイアス(偏り)無しで物事を見ることも、人間の性質上、とても難しいことです。
西洋占星術は、短所だけでなく長所も認識できるツールですが、情報量が膨大であるために、占う側である私自身も、お客様に対して、バイアスがかかった情報の取捨選択をしていないか、常に自問自答する必要があると思っています。

それでも、個々人が他人の良い面を見ようと努力することはできます。
周りの人に対し、ネガティビティ・バイアスがかかった見方をしていないか、様々な角度から人を見ることができているか、立ち止まってご自身の視点を確認することもまた、今までに無い、新しい視点を生み出してくれるのかもしれませんね。

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少し間が空いてしまいましたが、「星々の意匠」、3回連続で書いてみました。
次回は一旦、お知らせを挟ませて頂いた後、通常の記事に戻ります。
「星々の意匠」は今後も、通常記事の合間に時々書いていきたいと思っています。

2017年2月、月蝕の日にこのブログを始めて、先日1周年を迎えました。
この機会にとアクセス数を確認したところ、最初の1ヶ月半ほどは、1日に1・2件アクセスがあるか無いかといった感じでした(笑)
それでも、ご覧になって下さる方が少しずつ増えていって、おかげさまで1年で延べ15万アクセスを頂くことができました。
一般的には少ない部類のアクセス数ではあるとは思うのですが、私にとっては宝物のように嬉しいです。

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本当にありがとうございます。心より御礼申し上げます。
ゆっくりペースの更新ですが、今後もよろしくお願いいたします(*^o^*)

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