2018/04/14

女性にとっての"太陽"について


西洋占星術での「太陽」は、「地球」の周期を投影したものです。

ご存知のように、太陽系は恒星である太陽を中心として、地球を含めた他の天体が自転しながら公転しているわけですが、古い歴史を持つ西洋占星術では、その太陽を地球――「私達自身」に置き換える、天動説的な考え方が基本になっています。

つまり、太陽系の中で常に中心にあり、自ら光と熱を生み出す「太陽」を、地球上で暮らすちっぽけな存在である「個々の人間」にそれぞれ置き換えているということです。

そういった理屈から、西洋占星術での太陽は生命力・活動力の象徴とされていますし、自ら人生の意義・目的をつくりだしていく「能動的で、積極的な」輝やかしいエネルギーであるとされています。




太陽系
また、西洋占星術での「太陽の年齢域」は26歳~35歳。
それ以前の月(0~7歳)・水星(8~15歳)・金星(16~25歳)の年齢域は「受動的」な面が強調されてきます。
外部から与えられた状況を受け入れ、順応することで発達していく年齢域だからです。

つまり先ほどの理屈からすると、太陽の年齢域では、今までのように外からやって来た事象に受動的に対応するのではなく、自分自身が意図し、自分自身で「生きることの意味」をつかみ取っていく期間であるということになります。

しかし実際、太陽の「生きる意義」を意識し、「主体性を持って」活動されている方は、一体どれほどいらっしゃるでしょうか。




西洋占星術において、太陽と月は出生図内で最も重要な天体です。
しかし太陽については、個々の状況によって「埋没してしまっている」ケースも実際、多いように感じています。

特に女性の「太陽」について――西洋占星術で「太陽を託す」という表現がよく使われるように、父親や配偶者(夫)の特徴が色濃く出やすい面が確かにあります。

つまり、いかに個人の出生図内で最も重要な天体であったとしても、親子や配偶者など、ご縁による相互の関係性の中で響き合う要素が大きいわけです。
その結果として、特に女性は、太陽の象意のひとつである「主体性」を父親や配偶者に「空け渡してしまっている」ケースも多いように思います。

しかし一方で「主体性を持たない、埋没した太陽」であったとしても、サインやアスペクトなど、ご本人のキャラクターを形成する上での影響はもちろん強いわけです。
かと言って、仕事を持つ独身女性の全てにとって「仕事=太陽」というわけでもない――


鑑定をさせて頂いている今、準備段階での「太陽(主体性)の見極め」をとても難しく感じています。
また、その見極めのひとつとして、月の状態やシナストリを考慮することが特に重要だと感じています。




Aさん(女性)
左図はシングル・マザーのAさんの出生図です(内容含め、掲載許可を頂いております)。

鑑定をお申し込み下さったときのご相談内容が、「自分が何を考えているのか分からないので、教えて欲しい」というものでした。

よくよく伺ってみると、「"頑張りたい"のに"頑張った経験"をしたことが無く、特にやりたいことも無い」。
決して投げやりになっているわけではないのですが、何に対しても「何でも良い」と感じるのだそうです。

この太陽は蟹座22度。非日常的な面に精神的な広がりを見出す、受動的な度数でもあります。
また蟹座太陽-蠍座海王星-魚座土星で形成される、"水"のグランド・トライン。
もともとご自身の考えや気持ちを周囲に分かってもらいづらい傾向を持ちますが、それはご自身の中で感情面が充足化されやすいため、あえて表に出す必要が無いからとも言えます。
「新しい空気を入れる」といったことがしづらいフォーメーションでもありますし、同時に6室土星を"影"にしてしまいがちな面もあるように思います。

こういった配置は周囲に同化していく力が強いことの表れでもあり、殻を破るようにして自ら行動を起こしづらい面や、自分自身の意向は一旦脇に置いておいて、周囲の思惑や意向に限りなく近づいて融け合っていくような面が出てきがちです。

4室山羊座月が太陽とオポジション、キロンとのセクスタイルのみと、アスペクトが弱めであること、また獅子座水星-金星が蠍座海王星とスクエアを形成していること、3室のカスプが射手座であることから、思考の焦点が分散しがちな面もこういった傾向を助長しているように思われます。

Aさんは離婚後、「大工さん」であるお父様と長年同居されています。
子育てや家事、様々な手続きなど苦手意識が消えなかったAさんを、お父様が全て引き受けてくれたとおっしゃっていました。

Aさんの月の状態から考慮しても、「太陽を託している」ひとつのケースなのではないかと思われます。



内円から:Aさん出生図/CPS/2020年1月
また、こういった太陽を持つ方は、目標を絞って頑張るというよりは、ふと興味が向いたことにゆっくりと取り組んでいくことが長続きしやすいように思いますし、それが結果的に「太陽の主体性」に少しずつつながっていくのではないかと個人的には思っています。

Aさんがはじめて興味を持ったのが「占星術」。

土星-キロンと個人天体の組み合わせは身体のメンテナンスに関するお仕事をされている方に多く見られますが、この土星は月とタイトなセプタイル。
またそれらは12室乙女座天王星-冥王星とオポジションを形成しています。世代相ですが、水のグランド・トラインを貫き、カイトを形成しています。
普段は意識できなくとも「"無意識の領域"にアクセスして人の役に立ちたい」という衝動とその推進力が垣間見えてくるのです。

現在は頼まれたときだけ鑑定をされているそうですが、2020年1月にはn太陽-n月の上で山羊座t土星-t冥王星のコンジャンクションが起き、カイトが形成されます。
また6室n土星にt海王星が重なり、カイトの一角を担います。n月にp月も回帰し、子午線軸にSA海王星-tノード軸が重なることで、今までのAさんの世界が、より大きなところへと開かれていくことが推測できます。

同時にそれは、受動的であるAさんの太陽が、強い主体性と推進力を持つ大きなきっかけ――「"頑張る"体験をする」きっかけになる、ひとつの可能性として推測できるのです。





1819/09/13 出生時間不明 ドイツ ライプツィヒ
左図はピアニストのクララ・シューマン(Clara Schumann)の出生図です。出生時間不明のため、ソーラー・ハウスにしています。

クララは作曲家・音楽評論家でもあったロベルト・シューマン(Robert Schumann)の妻で、ロベルトの曲を積極的に演奏し、その普及に尽力しました。

月は火星とコンジャンクションを形成する可能性がある蟹座。

これらが乙女座水星-金星とセクスタイルを形成し、範囲は狭くとも非常に細やかな視点、潔癖さを持ったキャラクターとなりますが、太陽に比べるとアスペクトが弱めであり、前述したAさんと同様に、良くも悪くも太陽の影響が強く出てきがちです。


その太陽は乙女座20度。射手座天王星-海王星を頂点として、魚座土星-冥王星とTスクエアを形成。
土星以遠の天体が全て太陽にハード・アスペクトを形成するため、非常に「重苦しい」配置であると言えます。

クララ・シューマン
抑制的ですが、斬新で独創的。スケールの大きなビジョン・感受性に恵まれ、理想形をどこまでも追究する姿勢。大変な努力家でもあり、異常な練習量、プレッシャーに耐えうる忍耐力、度量の大きさもあったのでしょう。
これだけでもクララが相当な"スゴ腕"のピアニストであったということが推察できます。

実際、19世紀最高のピアニストとしての評価が高く、数々の芸術家――ゲーテ、ショパン、リストなどから絶賛され、当時のオーストリア皇帝からも最高の賛辞と称号を送られているのです。

しかし同時に、この太陽の配置は父親からの理不尽で重く苦しいプレッシャーを受けがちです。



1785/08/18 出生時間不明 ドイツ プレッチュ
左図はクララの父親で、音楽家・音楽教育者であるフリードリヒ・ヴィーク(Friedrich Wiech)の出生図です。出生時間不明のため、ソーラー・ハウスにしています。

まだ幼いクララに才能を見出したフリードリヒは、他の兄妹の育児を放棄し、クララだけに教育を施しました。

獅子座太陽-牡牛座火星のスクエア。
蟹座金星を頂点として、天秤座海王星-牡羊座木星のTスクエア。
音楽を"理解する"才能と共に、基本的にはとても心優しいキャラクターではありますが、過度な理想主義傾向を人に押し付ける、人を巻き込んで実現させようとするような強引な傾向が出てきがちです。

その傾向は、水瓶座1度の土星とコンジャンクションを形成する可能性のある山羊座か水瓶座の月にも重複して表れているように思います。

ロベルトとクララ
クララに対しても、日記に書く内容まで指示したり、「第二のモーツァルト」として有名にしようと画策したりと、クララを"理想の鋳型"にはめようとする衝動が見て取れるのです。

後年、フリードリヒはクララとロベルトのお付き合いに激怒し、大反対しますが、強く激しい大恋愛を経た二人の決意は揺るぎませんでした。

フリードリヒは、二人に罵詈雑言を浴びせたり、クララを監禁して手紙を検閲したり、街中に怪文書を撒いたり、偽物の婚約者をでっちあげたりと、ありとあらゆる手を使って二人を別れさせようとします。

クララは当時、すでに非常に高名なピアニストでしたが、クララの太陽に表れている"強烈"な配置が、この父親を表していると充分に考えることができます。



1810/06/08 21:30 ドイツ ツウィッカウ

左図はロベルト・シューマンの出生図です。データはアストロ・データバンクより転載させて頂いています。

双子座太陽は双子座18度。"閉鎖的な環境"の中で他者の影響を受けながら激しく動き回るような度数です。
その太陽が魚座冥王星を頂点とした射手座土星とTスクエアを形成。
"超努力"があくまで内向きに沈潜していくようなキャラクターであると言えます。

あまり有名でなかった頃のロベルトが恋愛中のクララへ捧げた作品も(ご参考までに…"ピアノ・ソナタNo.1""クライスレリアーナ"など。音にご注意下さい)、内部での抑圧、異常なほどのストイックさをそのまま写し取ったかのような激しさが垣間見えるのです。

一方、乙女座月は射手座海王星とスクエア。これもクララに捧げた作品のひとつですが、"子供の情景"など、太陽のコンディションとはうって変わって繊細で美しい旋律を持つものも多いです。

しかし後年、精神障害を発症し、川へ飛び込んで自殺をはかった後、精神病院で亡くなってしまいます。こういった事象は、子午線軸に重なるノード軸による、家系的な影響の可能性も推察されるのです。



内円:ロベルト 外円:クララ
フリードリヒに対する訴訟の末に何とか結婚を許された二人は、8人の子供をもうけますが、ロベルトの収入は少なく、生活は苦しいものでした。

クララはロベルトを心から愛しながらも、家事や育児に追われ、練習もままならないまま演奏活動をして金銭を稼がざるを得ない状況に大きな葛藤を感じていたのです。

ロベルト自身も「偉大なピアニスト、クララの夫」というぞんざいな扱いを受けることが多かったようですが、クララの存在が、ロベルトを作曲に向かわせた面も大きかったように思います。

上記の二人のシナストリ図は確かに強烈に惹かれ合う要素もありますが、むしろお互いを刺激し、突き動かしていく相性と見ることもできます。

ただ重要なのは、クララが「強烈な父親」と「強迫観念的な傾向を持つ夫」を持ちつつ、「一家の大黒柱・精神的支柱として"父親の役目"をも果たしていた」、ということです。




ドイツ 100マルク紙幣
t海王星が魚座に在する現在、「男女の社会的な役割」を融和させようとする議論が高まっていますが、実際はクララと同じような状況に置かれている女性はとても多いのではないでしょうか。

実際、これまで鑑定させて頂いたケースでも、単なる役割といった表層的なことではなく「(精神的支柱といった点で)夫と妻が入れ替わっているような」ご夫婦は複数いらっしゃいました。
また「親と子が入れ替わっているような」ケース、「子が親の配偶者の代わりをするような」ケースも少なくなかったわけです。

もちろん社会的な背景が大きな要因のひとつにあるとは思いますが、占星術の観点で考えてみると、やはり女性の立ち位置は「受動的」なものであるということが前提です。

どれほど「強い太陽」を持っていたとしても、そこから表出してくる事象は、個人の出生図同士が響き合った上での事象なのだと思わざるを得ないのです。

能動的・意図的に、人生の目的・価値を模索するのが「太陽」の象意ですが、その最終目標は「土星」の状態に表れていると言われています。

主体性を発揮する、という言葉は非常にあいまいなニュアンスを持ちますが、自分自身が最終的にどこへ向かっていくのか、出生図は有用なヒントを与えてくれるように思いますし、今後も様々なケースを通して考察していければと思っています。

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